一般道で118km/hって自他共に危険と思えるが……警察車両の緊急走行は「何キロ」出しても合法なのか?

この記事をまとめると

■2021年9月に白バイが118km/hで走行中に大型トラックと事故を起こした

■緊急車両は速度超過車両を取り締まる場合には制限速度を超えても法的には問題ない

■速度と安全性は別問題なので安全速度の見極めと判断が常に求められている

白バイと大型トラックによる死亡事故が発生

 2021年9月に北海道苫小牧市の信号機のない丁字路交差点で、直進中の白バイが右折してきた大型トラックに衝突し、白バイの警察官が死亡する事故があった。

 事故当時、白バイは赤色灯を点灯させながら、118km/hで走行していたとされるが、緊急車両とはいえ一般道を118km/hで走るのは合法だったのか?

 この事故そのものは、大型トラックの運転手が過失運転致死の罪に問われて裁判になっているが、その裁判のなかで検察は、事故直前の白バイの速度(118km/h)について、警ら中で、法律上は問題ないとしている(同時に北海道警察が事故防止に向けて一般道での「最高速度は100km/h」とするよう、白バイに通達していたことも明らかにした)。

 なぜ、検察は118km/hを合法と主張できたのだろう。

 まず、白バイやパトカーなど、公安委員会の指定(もしくは届け出)を受けている車両が緊急用務を遂行する目的で赤色灯を回転させサイレンを鳴らしている場合は、緊急自動車として「最高速度の特例」が認められ、法的な最高速度の条件が一般道路で80km/hまで、高速道路は100km/hまで緩和されることになっている(道路交通法第41条)。

 加えて、道路交通法道路交通法41条の2に「第二十二条の規定(最高速度)に違反する車両等を取り締まる場合における緊急自動車については、同条の規定は、適用しない(「緊急自動車等の特例」)」とあるので、白バイやパトカーが、速度超過車両を取り締まる場合は、一般道路で80km/h、高速道路で100km/hを超えても法的には一応問題はない。

 したがって、公安委員会が認めた白バイやパトカーが、緊急用務を遂行する目的で、赤色灯を回転させてサイレンを鳴らし、なおかつスピード違反を取り締まるための走行時に限り、最高速度の上限はないと考えていい(付け加えると、「道路交通法施行令第14条」には、「ただし、警察用自動車が法第22条の規定に違反する車両[つまり、速度超過車]を取り締まる場合において、とくに必要があると認めるときは、サイレンを鳴らすことを要しない」と記されていて、赤色灯は必須だが、サイレンの有無には例外がある)。

 繰り返しになるが、上記の条件を満たしていれば、白バイ、パトカーの最高速度は何km/hでも合法になるが、それと安全性は別問題。20km/hでも118km/hでも、事故を起こしては元も子もないので、白バイ隊員、パトカー隊員には、安全速度の見極め、判断が常に求められている……。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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