小型! 軽量! そして安い! クルマ好きのすべてが詰まったホンダCR-Xというまごうことなき名車 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■シビックの派生モデルとしては姉妹車のバラードとさらにその姉妹車のバラードスポーツCR-Xがあった

■CR-Xはシビックのシャシーをショートホイールベース化して軽量ボディを組み合わせたFFスポーツ

■CR-XはライトウエイトFFスポーツという新たなジャンルを開拓した

バラードの地味なイメージを払拭するために登場

 ホンダを代表するスポーツモデルといえば、現在も新車ラインアップに名を連ねる「シビック」だ。シビックの初代モデルが登場したのは1972年のことで、現行モデルは11代目。日本国内はもちろん、北米や欧州、アジア地域など世界各国で販売されるグローバルモデルとなっている。

 現行シビックは、1.5リッター直噴ターボと2リッターe:HEVという2種類のパワートレインを搭載する「上質なハッチバック」という印象が強いが、かつて1980〜1990年代のシビックといえば、軽量コンパクトな車体に強力なエンジンを搭載したFFスポーツという印象が強かった。若者からオトナまでがスポーツカーに夢中だった時代、「テンロク」と呼ばれた1600ccクラスの人気を牽引した立役車の1台だ。

 そんなシビックには、さらにコンパクトな車体をもつ姉妹車が一時期存在していた。それがCR-Xである。正確にはシビックの姉妹車であるバラードの姉妹車、だけれど。

 1972年に登場した初代シビックは、コンパクトな車体ながら居住性に優れた室内空間や、スポーティな走りが楽しめることが人気を集めただけでなく、環境性能に優れたCVCCエンジンの評価もあってホンダの四輪事業を立て直した。そしてシビックは1979年に2代目へと進化し、翌1980年には姉妹車の「バラード」が登場する。

 ところでバラードが誕生した背景には、当時のホンダが推進していた販売チャンネルの拡大展開がある。2024年現在、ホンダ車販売ディーラーはホンダカーズに統一されているが、当時は1978年にホンダベルノ、1984年にホンダクリオ、そして1985年にホンダプリモを設立していた。そしてホンダベルノの立ち上げに際し、ベルノ店専売モデルとして誕生したのがバラードだ。

 バラードは機関系のほぼすべてをシビックと共有する4ドアセダンであったが、3ドアハッチバックがスポーツイメージを牽引するシビックに比べると地味なイメージは否めず、販売は苦戦。1983年に3代目シビックが登場すると、同時に2代目バラードも発売されるのだが、この2代目バラードの登場に先駆けて登場したのが「バラードスポーツCR-X」だ。

 車名のとおり、バラードの派生車種として登場した「バラードスポーツCR-X」は、バラード/シビックのシャシーをベースに、ショートホイールベース化&軽量ボディを組み合わせた小型FFスポーツとして開発された。

 エクステリアデザインを担当したのは、初代シビックやアコードを手がけた岩倉信弥氏である。


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