下取り車は商談の最後まで手元に置いておく
新車を購入する際の値引き交渉では3つの柱が存在する。「車両本体値引き」、「用品値引き」そして「下取り査定の上乗せ」である。
車両本体値引きの原資となるのは、車両本体価格(メーカー希望小売り価格)内のディーラー利益となる。ただディーラー利益は圧縮傾向が続いており、車両本体値引き額だけでは満足いく条件提示はなかなか得られない。
そこで次の一手として用品値引きがある。ディーラーオプションが主たる対象となり、用品装着総額のだいたい20%引き程度を目安にディーラーは、「車両本体値引き支援」として算出して値引きアップを行ってくる。
ただ用品値引き額は、なかなか交渉次第で上積みができるというものではない。そこで値引きアップの最終兵器として出てくるのが、「下取り査定の上乗せ」である。下取り査定とは、新車へ代替えする際に、乗っている愛車をセールスマンが外装の傷やへこみ、修復歴、内装の汚れなどの状態、走行距離などをチェックすることにより、下取り査定額を算出。これを支払い内訳の一部にすることで、現金での支払額やローン払いなら、頭金またはローン支払い総額負担を減らすというもの。
下取り査定の原則は、そのクルマの現状価値の算定となるが、最近では買い取り専門店と同じく、中古車市場での人気を反映させるため、中古車相場も加味した算定方式となっており、大昔よりは好条件が出やすくなっている。
そしてこの下取り査定額は、あくまで現車の価値を各ディーラー個々の事情で判断するものなので、下取り車が同じメーカー車か否か、各ディーラーの持つ再販ネットワークなどにより、査定額には差が出てくるのが当たり前となっている。
また、今どきは、お客の希望予算に対し、車両本体値引きと用品値引きだけで間に合わない場合には、下取り査定額に値引き不足分を「上乗せ」するのもほぼ当たり前となっている。この傾向は日本車だけでなく輸入車販売の世界でも同様である。
そんなこともあり、商談のはじめにセールスマンは「下取り予定車はありますか?」と聞いてくるのである。
下取りに出さずに買い取り専門店に売却するという方法もある。ただ買い取り店は一発提示で勝負をしかけてくるので、提示される買い取り額はディーラーが示す最初の下取り査定額より好条件なことが多い。しかしここで買い取り店に売却するのは時期尚早である。
セールスマンが示す初回下取り査定額は、挨拶程度と考えてもらいたい。セールスマンも商談が大詰めになるころを見計らい、下取り査定額の上乗せで値引き額を調整してくるので、商談の大詰めまで下取り車は温存しておき、商談の詰めの段階まで待って値引き額全体の伸び悩み傾向が目立っていたら、買い取り店に持ち込み、査定額より好条件が出たら、その場で売却するのではなく一度持ち帰り、「買い取り額がいいのでそちらに売却したい」と伝えよう。
大詰めの段階では下取り車ありきで値引き条件が調整されているので、その段階で下取り車を買い取り店に売却されてしまうのは、セールスマンにとっては梯子をはずされるようなもの。ダメ押しで査定額などを調整して、買い取り店への売却を阻止してくるはずである。
とにかく下取り車は商談の最後まで手元に置いておくのが賢い選択なのである。