この記事をまとめると
■日本の公道を走るクルマは車検を受けてそれに通ることが必要だ
■本来は陸運支局で検査員とともに検査するが「指定工場」では検査員のチェックで完結する
■手直しせずに合格とする「闇車検」は虚偽有印公文書作成・同行使の罪に問われる
なかなか撲滅されない「闇車検」とは
日本で公道を走行するためには有効な車検が備わっていることが義務付けられている。そのため、乗用車や軽自動車では2年に1度(新車時のみ3年間有効)、商用車では毎年(新車時のみ2年)車検を受けることが必要となっている。
そして、車検時には当然ながらさまざまな点検項目が設けられており、検査時にその基準をパスできなければ車検を通すことができなくなるため、適切な整備が必要となる。
車両の劣化や消耗による不具合はもちろんだが、なかには改造によって車検に適合しなくなっているケースもあるため、車検を継続するためにはこういった部分も適合するように手直しすることが必須となるワケだ。
ただ、なかにはこういった本来は車検に適合しない部分を手直しすることなく、書類上では問題がなかったかのように偽って車検をバスする、いわゆる「闇車検」なることを行う業者が存在しているというのだ。
本来、車検を受ける場合は全国各地にある陸運支局に車両をもち込み、検査員に問題ないことを確認してもらった上でパスするという形になるのだが、整備工場のうち「指定工場」となっている工場においては、検査のできる設備と検査員がいるために陸運支局にもち込まなくても、その工場内で車検を実施することができる。
つまり陸運支局にもち込まなくてもいいということは、その車両が本来車検に適合していない状態であっても、指定工場が問題ないという書類を作成すれば車検をパスできてしまうのだ。
このような闇車検は違法改造がなされたカスタムカーを手直しすることなく、車検をパスさせるために行われているイメージが強いかもしれないが、じつはトラックやバスなど、働くクルマでも多く行われているのが事実。
というのも、働くクルマというのは車検を受けるために数日工場に入庫するだけでその間は一切仕事で使うことができなくなるため、本来は数日かけて行うべき整備をやったことにして車検を通すというケースも少なくないのだ(もちろん絶対数は少ないが)。
なお、この闇車検は虚偽有印公文書作成・同行使の罪に問われるものであるため、かなり重い判決となる可能性も高く、指定工場としての認証も取消となり、廃業に追い込まれるケースも珍しくない。闇車検をするための謝礼に目がくらんで、人生を棒に振る可能性も大いにあるのである。