「高回転はターボ」「低回転はスーチャー」はクルマ好きの間違った思い込み! 2つの過給器の特性はむしろ真逆だった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■過給機には「ターボ」と「スーパーチャージャー」が存在する

■ターボは低回転から使える一方でスーパーチャージャーは高回転のほうが向いている

■チューニングの世界では両方付けるケースも存在する

過給機には2種類存在する

 エンジンの燃焼室に空気を送り込むのが過給器(タービン)の役割。ピストンが下がるときの負圧で空気を吸い込むNA(自然吸気)エンジンに比べて、燃焼室により多くの空気を押し込むことができるので、結果的にたくさんの空気を入れることができる。

 この大量の空気にたくさんの燃料を噴射して爆発させれば、大きな爆発力を得られることになる。だから、過給器付きエンジンはパワーもトルクもたくさん出すことができる。これがターボやスーパーチャージャー付きエンジンの魅力だ。

 ちなみに、空気を押し込む方法には大きくわけてふたつある。

 ひとつはスーパーチャージャー。これはエンジンの回転力を使って空気を押し込む方式。具体的にはクランクシャフトに取り付けられたプーリーでスーパーチャージャーを駆動する。オルタネーターやウォーターポンプも同様にクランクシャフトの回転を使って冷却水を回したり、電気を発電している。

 対するターボは排気ガスの圧力を利用する。勢いよくエンジンから出てきた排気ガスをタービン(羽)にぶつけて回す。このタービンが回っている力でエンジンに空気を押し込む仕組み。

 これらふたつは、空気を押し込む力の源が異なるということになる。スーパーチャージャーはエンジンの回転力を使うのでパワーロスになる。ターボは排気ガスの力で押し込むので排気抵抗は増えるがパワーロスは少ない。これがそれぞれの特徴だ。

 ここまで聞くと、「ターボのひとり勝ちか?」と思いたいが、レスポンスに関してはスーパーチャージャーが勝る。ターボはアクセルを踏んでタービンが勢いよく回りだしてから過給してパワーが出るので、アクセルを踏んでから加速するまでに、どうしてもタイムラグが起きる。いわゆるターボラグといわれる時間だ。スーパーチャージャーはそういったタイムラグがなく、いつでも過給できるのでレスポンスよく加速できるのがメリット。だが一方で前述のとおりパワーロスもある。どちらも一長一短なのだ。


加茂 新 KAMO ARATA

チューニングジャーナリスト

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