N-VAN e:って「モバイルバッテリーパック採用」じゃないのか……って残念がる声! 現実を考えればいまのN-VAN e:が正解だった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ホンダが軽商用EVの「N-VAN e:」を発表した

■一部ユーザーからは「N-VAN e:」に交換式バッテリー搭載を期待していた声がある

■現状ではまだ交換式バッテリーには弱点が多いため「N-VAN e:」のパッケージは妥当

床下に29.6kWhのバッテリーを搭載して航続距離245kmを実現

 2024年10月10日の発売に先んじて、ホンダ初の軽商用EV「N-VAN e:」が発表された。助手席側ピラーレスの大開口が好評の軽商用車N-VANの使い勝手はそのままに、フロア下に29.6kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載、WLTCモードの一充電航続距離245kmを実現するなど、ゼロエミッションの商用バンとして使える性能を実現。シングルシーター仕様、タンデム2シーター仕様など多彩なバリエーションを用意したことも話題だ。

 N-VAN e:のメーカー希望小売価格は243万9800〜291万9400円。運送事業者であれば一台あたり約100万円のLEVO補助金が期待でき、個人ユースであっても最大55万円のCEV補助金が適用されることを考えれば、ビジネスとしても”ペイできる”価格帯となっている。軽商用車として初めてサイドカーテンエアバッグを装備するほか、軽自動車初の衝突後ブレーキシステム(エアバッグの作動に合わせてブレーキをかけ減速させる機能)を搭載するなど先進安全性についても評価されているところだ。

 外観もよく見ればガソリンエンジン車とは異なるフロントグリルやフロントバンパーとなっている。インテリアでもフル液晶のデジタルメーターやコンテナをモチーフとしたトリムを採用するなど、しっかりと差別化している。名前からN-VANの電気自動車バージョンと思いがちだが、まったく新しいモデルといえるほどの進化を遂げている面もある。

 このように不満の少なそうなN-VAN e:だが、一部からは「あの機能を期待していたのに……」という失望の声もあるという。それこそが「バッテリー交換」機能である。

 2023年のジャパンモビリティショーにて、ホンダブースには「MEV-VAN Concept」と名付けられたコンセプトカーが展示されていた。ボディの基本がN-VANであるところは市販のN-VAN e:と同じだが、「MEV-VAN Concept」は、ホンダが主に二輪で展開している可搬型バッテリー「モバイルパワーパックe:」を電力源として走行できるバッテリー交換型のEVだった。

 しかも、このコンセプトカーをベースにしたバッテリー交換型EVのN-VANは、ヤマト運輸と共同で実証実験も進められている。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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