トラックの世界では100年以上前の方式がいまでも現役バリバリ! 乗用車のような「コイルスプリング」じゃなく「リーフスプリング」が主流なワケ

この記事をまとめると

■乗用車の足まわりはコイルスプリングが主流だ

■トラックの多くはいまだリーフスプリングを採用している

■トラックにリーフスプリングが向いている理由を解説する

トラックはなぜいまだにリーフスプリング?

 クルマにとってサスペンションは欠かせない機構だ。路面の凹凸による衝撃を吸収し、タイヤを路面に押し付け、グリップを高めて燃費や安定性を高めるだけでなく、コーナリング時にも旋回力を発生させて安定したコーナリングを実現している。

 そんなサスペンションで、トラックならではの装備といえばリーフスプリングがある。スプリングは車体を支える部品で、ほとんどのクルマにとってなくてはならない部品だが、トラックの場合は乗用車とちょっと事情が異なる。今回はそのあたりを解説したい。

 まず、トラックは乗用車と違い、車両重量に対して最大積載量が定まるため、車体は軽いほうがいい。乗用車においてコイルスプリングがすでに主流になって久しいのに対し、トラックはいまだにリーフスプリングが主流だ。

 コイルスプリングは文字どおりコイル(円柱形)に仕立てられたスプリングのことで、スペース性と乗り心地に優れる、軽量化にも貢献できる優れた部品だが、重量物を運ぶにはどちらかといえば不向きだ、そんなコイルスプリングが普及する前は、乗用車でもリーフスプリングが主流だった。しかし、トラックではリヤサスペンションのスプリングには相変わらずリーフスプリングが使われている。

 リーフスプリングのメリットを挙げると、まずは車軸を固定する役割ももたせられること。そしてヘタリに強い。このふたつを組み合わせて、堅牢なトラックにはリーフスプリングしかない、と現在でも採用され続けているのだろう。

 100万kmはザラに走る大型トラックの場合、コイルスプリングではすぐにヘタってしまうし、何より高いバネレートで十分なストロークを得ようとすると、コイルスプリングでも大きくなってしまい重さが増すなど、コイルのメリットが活かせないのだ。

 ちなみにトラックでは近年、リーフスプリングに代わるスプリングとしてエアサスも多く使われている。これはゴム製のエアバッグをスプリングとして利用するもので、衝撃の吸収性が高く、縮むほどにバネレートが高まる特性も、ストロークを抑える効果がある。精密機械などを運ぶ際には効果的であるほか、エア圧を調整することで車体を水平に保ったり、あるいは(前後などの)車高を一定に保つこともできるのも大きな特徴だ。ただし、ゴムが劣化するので定期的な交換が必要。エアサスでしか実現できない機能があるため、いまや完全にトラック向けのサスペンションとして確立された感がある。

 小型トラックではフロントにトーションバースプリングを使っているケースも多い。これは棒状のスプリングで捩れるように力を加えることで、バネとして作用するものだ。リーフスプリング同様、足まわりの位置決めを兼ねられスペース効率もいいので、ある程度の車重までは有効なスプリングなのである。

 ちなみにスプリングとして使われる素材としては、バネ鋼のほか、ゴム(エアサスもゴム頼りなので)があるけれど、結局はしなやかで強い鉄鋼がトラックを支えており、リーフスプリングは100年以上前から使われている。

 一見、長くて重くて効率が悪そうなリーフスプリングだが、実際のトラック車両ではまだまだ欠かせない重要パーツのひとつなのだ。


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