【疑問】クルマの冷却水は交換しなくていいのか?

交換は必要だがロングライフ化が進んでいる

 今では2輪はまだ残っているが、4輪については100%、水冷エンジンだ。つまりエンジンを冷やすために、冷却水をあちこちに流している。ちなみに空冷は、走行風やファンで風を作ってやるもので、冷却ムラや騒音、高性能に対応しずらいなど、デメリットが多くて、消えてしまった。

 水冷といっても、一般の水を使っているわけではなく(水でも機能的にもとりあえず問題はないが)、現在はLLCと呼ばれる専用品を使っている。LLCはロングライフクーラントの略で、自動車創成期に主流だった水に対するもの。水は劣化が早いなどの理由から頻繁な交換やメンテが必要だったのに対して、LLCは長く使えるということでこの名前となった。もちろん登場時は画期的なもの。ちなみにロングライフといっても、寿命は車検ごとぐらいである。

 そして現在。ここ最近の新型車については、さらに進化したスーパーロングLLCと呼ばれるものを使用している。これは新車時からだと、16万kmもしくは7年後に最初の交換。そしてその後は8万kmもしくは4年毎と、かなりメンテナンスフリー化が進んだといっていいだろう。計算的には廃車になるまでに2回交換といったところか。

 このスーパーロングLLCは成分を強化したもので、濃度管理が従来のLLCよりもシビアなのだが、長寿命化の背景にはエンジンの素材や精度の向上がある。とくにエンジンのアルミ化が進んでいるのは、かなりの後押しになっている。なので、LLC指定のクルマにスーパーロングLLCを入れれば長寿命化が実現できるわけではないのであしからず(一部メーカーでは使用自体を禁止)。

 LLC自体も車検毎というのはけっこうな長寿命だし、スーパーロングLLCは次の交換はいつになるやら、といった感じだが、その分、LLC自体への負担は大きい。それゆえ時期が来たら、確実な交換が必要と言っていいだろう。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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