この記事をまとめると
■三菱の看板車種の一角「デリカ」
■初代モデルは1968年にトラックとして誕生
■現在は5代目となっており次期新型はPHEVになると予想されている
ライバル不在の個性派ミニバンを振り返る
クロスオーバーSUVのムーブメントがくるずっと前から、ミニバンとSUVをクロスオーバーさせた唯一無二のモデルとして独自のキャラクターを輝かせてきたのが三菱デリカだ。
そのルーツを遡ると1968年の夏に生まれた小型トラックにたどり着くことは、意外に知られていない。じつは「デリカ」という名前を最初に与えられたモデルは、1.1リッターエンジンで最大積載量600kgという小型トラックだった。
しかし、デリカ=トラックという印象が薄いのも当然だ。翌1969年には、「ゆうゆう365日」と自信満々のキャッチコピーをひっさげた1BOXボディが追加されている。そのワゴンバージョンとしてラインアップされたのが「デリカコーチ」で、3人がけ×3列シートの9人乗り仕様が用意された。まさに、現在の「デリカ」イメージを生み出したルーツ的モデルといえる。また、デリカの伝統となる2トーンカラーも、この初代モデルから採用されていた。その後のフルモデルチェンジごとにメカニズムとしての進化を遂げたのはいうまでもないが、デリカの商品企画としては初代で完成していたといえそうだ。
1979年にフルモデルチェンジした2代目デリカでは、1.6リッター「サターン80」エンジンと5速MTの組み合わせが登場したことも話題となったが、レジャーニーズに応える「スターワゴン」が登場したこともトピックスのひとつ。パッケージとしても、初代のデリカコーチに続き9人乗りを用意した。フロント・ウイッシュボーン、リヤ・リーフリジッドという足まわりは、フレームシャシーの商用車ベースを感じさせるが、世にミニバンという言葉が広まる以前からスライドドアの3列シートのレジャービークルを提案していたことには驚かされる。