ロング客を引き当てた万収にこそタクシー運転士の醍醐味アリ! 領収書や乗務日誌を記念保管するドライバーまでいた (1/2ページ)

この記事をまとめると

■タクシーの世界でロングとは「長距離利用客」を指す

■万収とはメーター運賃が万円単位になることをいう

■ロング客はタクシードライバーにとってありがたい存在だ

ロング客を乗せたタクシードライバーが上機嫌なワケ

 先日、早朝に出かける用事があったのだが、あいにく土砂降りの雨模様であった。荷物もあったので、雨の早朝(需要は多いが圧倒的にタクシーは少ない)という最悪の状況のなか、タクシーの配車アプリで配車を試みると、数分で到着予定という意外な結果に驚いてしまった。やってきたタクシーは、鉄道の駅で4つほど離れた地域を地元とする事業者の車両であった。

 車内に乗り込んでしばらくすると運転士さんが、「いま県境まで(筆者の居住地域は県の中央部)お客さん乗せていった帰りだったんだよ」と話してくれた。筆者の自宅から10分もかからないところに高速道路のインターチェンジがある。そのインターチェンジを降りて車庫に帰ろうとしたら配車要請があったとのこと。「早朝でこの天気(ヘビーな雨)だから、困っているんだろうなと思って配車を引き受けたんだ」そうだ。「この時間だと、そこまで(県境地域)行くとメーター料金はどのぐらいなのですか」と聞くと、「1万8000円だったよ」とのことだった。

 タクシーの運転士さんはいわゆる「万収(メーター運賃が万円単位になること)」となるロング(長距離利用客)を当てると非常に饒舌となる。筆者も深夜電車がなくなってしまった時間帯に都心から自宅まで約40kmの移動にタクシーを利用することが稀にある(運賃はおおよそ2万円)。そのときは運転士さんが同中ずっと話しかけてきて、深夜でも眠ることもできなくなる。そのためこれ幸いとも思い、業界のことをあれこれ聞いて「飯のタネ」にしている。

 話を戻すと、距離はあるものの県内移動なのに高速道路を使っていいといわれたので「タイパ(タイムパフォーマンス)」もよく、そのため運転士さんは上機嫌だったのである。そして帰り際に3000円弱のお客も乗せているのだから、さらにホクホクのようであった。

 そんな上機嫌な運転士さんが、「結構前になるけど、名古屋までお客さん乗せたことがあるよ」と話し始めた。「いったいいくらになったのですか」と聞くと、「18万円強だったかな(帰りの分もとられる)」と答えてくれた。

 あえて詳しくは聞かなかったが、3時間で名古屋に到着したというから、タイパはいいといえるだろう。そして、信号待ちの間に「記念に領収書2枚発行した」として、大切に持っている18万円の領収書を見せてくれた。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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