この記事をまとめると
■補機類用のバッテリー内部には「希硫酸」という液体が入っている
■バッテリー液はエンジンの熱などで蒸発して容量が減り劣化する場合がある
■液が減ったまま使うと最悪の場合車両火災に繋がる可能性もある
バッテリー液ってそもそもなに?
いまやクルマの生命線のひとつといえるバッテリー。夏場は気温の関係で、電気を生み出すための化学反応が活発になり、自己放電や劣化が進みやすく、バッテリーが上がりやすくなる季節。
そうしたトラブルを避けるために、夏本番を迎える前にバッテリーの点検を忘れずに。
その際、よくチェックしておきたいのが、バッテリー液の液面の高さ。
バッテリー本体を横から見て、液面がLOWER LEVEL(最低液面線)とUPPER LEVEL(最高液面線)に入っているかを確認し、もしバッテリー液が減っているようなら、市販のバッテリー補充液を最高液面線まで補水しよう(水道水にはナトリウムやカルシウムなどの不純物が入っているので、水道水で補水するのはNG)。
バッテリー液が減ってしまう理由はふたつあって、ひとつはバッテリーの容量以上に電気エネルギーが加えられたため。つまり過充電の状態になると、液中の水が酸素ガスと水素ガスに分解され蒸発してしまうからだ(バッテリー液は、精製水+硫酸=希硫酸)。
もうひとつは自然蒸発。エンジンルームが高温になることで、バッテリー内の水分が自然と蒸発してしまうからだ(よって夏場は要注意)。
では、このバッテリー液が減ると、何が問題なのか?
自動車用のバッテリー、鉛バッテリーは、希硫酸が極板と化学反応を起こすことで電気を作る仕組みになっている。したがって、バッテリー液が減って極板が露出してしまうと、空気に触れている極板は化学反応が起きなくなり、バッテリーの容量が低下、電圧不足になってしまう。
つまり、それだけバッテリー上がりが起こりやすくなるわけだ。
そして、そのバッテリー液の液面が低いまま使い続けると、液に浸かっていない極板が露出してそこに、腐食が生じてくる。
腐食、劣化した部分は、もう充電できなくなってしまうので、バッテリーの寿命が短くなる。さらに、最悪の場合、その腐食した部分から火花が発生し、充電により生じた水素ガスに引火し、爆発を起こす可能性もある!
というわけで、バッテリーの液面点検はかなり重要。
最近では、バッテリー液を補充する必要のないメンテナンスフリーバッテリー=MFバッテリーも普及しているので、心配な人はこれらを利用するのもひとつの手。
メンテナンスフリーバッテリーは、水の電気分解を起こりにくくし、水分蒸発を防ぐ構造になっているので、液面点検は基本的に不要。その代わり、点検用のインジケーターが備えられているので、そのインジケーターを定期的に覗いてみることが重要だ。
そうでないバッテリーなら、できれば1カ月に一度は液面の点検をすることをオススメする。そして夏前と冬前には、ディーラーやカー用品店などで、専用のテスターを使ったバッテリーの健康診断も行なうようにしよう。