もはや移動水族館! 生きたまま魚を運ぶトラック「活魚運搬車」がスゴイ!!

この記事をまとめると

■トラックは日本の物流を支える重要なツールだ

■幅広い分野で活躍しており特殊車両も数多く存在する

■今回は活魚運搬車について詳しく解説する

生きた魚を輸送する活魚運搬車

 日本の物流を支えるべく、日夜活躍しているたくさんのトラックたち。わたしたちが比較的よく見るトラックの大半が、箱型や平型のボディ(荷台)を載せたものであろう。さまざまな荷物の輸送に対応することができる箱型や平型のトラックは、わたしたちの暮らしに欠かすことのできない食品や飲料をはじめ、建築資材や重量物など幅広い分野で活躍してくれている。

 新鮮な野菜や獲れたての鮮魚などは、冷凍/冷蔵装置を装備した箱型の冷凍車や、冷凍ウイングと呼ばれるトラックが産地から全国各地へと運び届けている。鮮魚とは、ナマの魚のなかでも新鮮な状態であるものを指す言葉。寿司や刺身などを好む日本には欠かせない食材である鮮魚は、陸揚げされてすぐに氷を詰めた“トロ箱”へと入れられ、出荷されるのだ。そのため鮮度は抜群なのだが、当然のごとく魚は生きたままではない。しかし海とは縁のない地域であっても、水槽や料理店のいけすなどで魚が泳いでいる姿を見たことは、誰でも一度はあるだろう。そのような魚たちは、一体どのようにして運ばれてきたのだろうか。

 箱型や平型が一般的なトラックの世界においても、一風変わったトラックが存在する。それは特装車や特殊車両と呼ばれるトラックたちで、箱型や平型のようにいろいろな荷物を運ぶためではなく、それ専用の荷物を運ぶために生み出されたトラックということになる。これまでにはゴミを運ぶ“塵芥車”やし尿を扱う“バキュームカー”、ガソリンを運ぶ“タンクローリー”やコンクリートを運ぶ“生コン車”などを紹介してきたが、ここでは活魚運搬車と呼ばれる特殊車両を採り上げてみたい。

 活魚運搬車とは、トラック業界では“いけす車”とも呼ばれる車両を指す。その名のとおりトラックに水槽(いけす)を積んだ構造となっており、生きた魚をそのまま輸送するために開発された。水槽には基本的に海水が入れられるのだが、魚にとって良い環境にするために酸素供給&ろ過装置や、水温や水流を調整する機能を備えるなどの工夫がなされている。そして水槽の内部に間仕切りを装備することで、異なる種類の魚を運ぶことを可能にしている。

 そんな活魚運搬車は軽トラックからトレーラーまで幅広い容量の車両サイズが存在するが、海水を積んでいるために積載量が稼げないことに加えて、運べる魚の量も箱詰めされたものより少なくなる。それゆえに、比較的単価の高い旬な魚や、高級魚をメインに運ぶことになる。そんな活魚運搬車の存在によって、産地から多く離れた土地であっても新鮮な魚を食することができるのだ。たとえば下関のふぐを東京で、しかも捌きたての状態で味わうことができるのも、活魚運搬車のおかげというわけである。

 もちろん生き物を運ぶという特殊な仕事であるため、運転中にも細心の注意を払わなければならない。つまりトラックの構造だけではなく、ドライバーの気質や技量も必要とされるのである。美味しい魚を食べられるのは、漁師はもちろん、運んでくれたトラックドライバーの活躍があってこそだということを、知ってもらえたら幸いだ。


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