デコトラたるもの「目」で語る! デコトラ野郎がこだわり続けるヘッドライトカスタムの歴史

この記事をまとめると

■フロントマスクはデコトラの印象を大きく左右する

■とくにヘッドライトにこだわるオーナーも少なくない

■デコトラとヘッドライトの歴史と効果について解説

いかつい雰囲気を醸し出す角型ヘッドライトが人気

 目は口ほどに物をいう。これは、旧くから伝わる日本のことわざだ。情を込めた目つきは、口で話す以上に強く相手の心を捉えるという意味が込められているのだが、人相を大きく変えるという意味でも、目の存在はとにかく大きい。ツリ目であれば怖い人のように見られてしまうし、タレ目であれば優しい人のように思われる。どのパーツも人相には大きな影響を与えるが、目はその最たる要素であると言っても過言ではないだろう。

 自動車において目の役割を果たすのは、やはりヘッドライト。大きく分けて丸型と角型のものが存在するヘッドライトは、クルマの顔つきを決定付けるほどに大きな存在である。そのため、改造車の世界では、旧くからヘッドライトをなにかしら換装するという手法が好まれてきた。とくに見た目重視の族車や街道レーサーの世界では、いかつい雰囲気を獲得できる角型のヘッドライトが好まれ、さらにはつり目でセットするという技も人気を集めてきた。

 デコトラの世界でも同様に、ヘッドライトは大きな意味をもつアイテム。旧さを出すなら丸型かオーバル型が好まれ、精悍さを求めるなら角型が採用される傾向にあるのだ。そんな角型のヘッドライトには、角目4灯と日産Y30セドリックやブルーバードマキシマのような、異形角型ヘッドライトが人気となっている。ここでは実例とともに、その効果を確認してみたい。

 1970年代のトラックにおいては、純正のヘッドライトは丸目4灯が主流だった。そんなベース車にバス用のオーバル型ヘッドライトを装着することが人気となったのが、ヘッドライト換装の起源であるといわれている。

 当時のヘッドライトはシールドビームという本体を丸ごと交換するタイプだったが、やがて電球交換式となるハロゲン式の角型4灯ヘッドライトが開発されると、いかつさや精悍な顔つきを求めたデコトラ野郎たちが、ヘッドライトをこぞって換装したのである。

 そんな4灯式のヘッドライトは、ロービームとハイビームが切り替え式ではなく、それぞれ専用のライトが左右にひとつずつ存在することが特徴。つまり、昼間の精悍さは得られるが、夜間走行時は左右ひとつずつしか灯らない。それゆえに、夜間走行時での迫力感には乏しいものだった。

角目4灯のヘッドライトを装着したデコトラ

 デコトラ愛好家たちが愛機に求めるものは、当然のごとく可愛らしさや優しい顔つきなんかではない。それゆえに丸みを帯びたヘッドライトが好まれるケースは少なく、その大半が角型のものへと換装されている。その違いを比較してみると、もはや同じベース車とは思えないほどの違いが生じるのだ。

 手軽で大きな効果を放つと思われてしまいがちなヘッドライトの換装だが、交換するにはそれなりの知識や技術が要求されるということを忘れてはならない。ヘッドライトには光軸というルールが存在するため、おいそれと交換するわけにはいかないのだ。ただし、こだわり派が多いデコトラの世界では、むしろ手軽ではないからこそ、ヘッドライト交換(換装)という手法が広く愛されているのかもしれない。

 今回掲載したトラックのなかで、どの顔がお好みだろうか。トラックそのものがバンパーライト(バンパーにヘッドライトを内蔵する意匠)になったことで、ヘッドライトを換装するという手法は減りつつあるが、次なる新たなスタイルの誕生を、心待ちにしたいところだ。


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