この記事をまとめると
■地域と稼働時間を限定し「日本型ライドシェア」がスタートした
■海外ではライドシェア利用客の不安を取り除くためにさまざまな取り組みをしている
■今後は日本でもライドシェアの本格導入に向けた判断をしてもらいたい
海外のライドシェアとは異なる日本型ライドシェア
いよいよ日本でも「ライドシェアサービス」が、地域そして稼働時間限定でスタートした。今回スタートしたのは「日本型ライドシェア」とも呼ばれる、ある意味特殊なものとなっている。
諸外国のライドシェアサービスは、プラットフォームサービスが車両提供側と利用希望側をマッチングするだけのサービスであり、タクシー事業者は介在しないのだが、日本型ライドシェアでは、ドライバー及び車両管理はタクシー事業者が行うところが大きく異なる(マッチングもタクシー配車アプリからも行える)。料金についてはキャッシュレスで事前確定運賃となるが、タクシーと同額になっている。
現状としては、繁忙時間帯にタクシーの稼働台数がニーズに追いつかない地域に、繁忙時間に限ったタクシーの補完勢力のような存在となっているのが日本型ライドシェアといっていいだろう。
6月には政府が諸外国で行われているような本格的なライドシェアサービス導入を前提とした、「ライドシェア新法」に対する見解を発表する予定なので、日本で正真正銘のライドシェアサービスが展開されるかどうかはまだまだ定かとはなっていない。
ただし、大手や準大手は別として、全国的には多くのタクシー事業者で今後事業継承が困難となり廃業する事業者が増えるのではないかとされている。保有台数が少なく、いまだに音声での無線配車でクレジットカードなどキャッシュレス決済も使えずに現金払いのみという小規模事業者が地方部では目立っている。仮に事業継承の意志があっても、車載機器のデジタル化やキャッシュレス決済端末導入などの負担はかなり厳しいとされている。
さらに、車両のBEV(バッテリー電気自動車)化や、無人運転タクシーの導入に至っては、小規模ではなくともどこまで導入コストを負担することができるのかという話も出ている。首都圏でも東京都など一部地域の大手や準大手以外では、タクシー車両を新車に入れ換えるのが困難であり、より年式の新しい中古車両でしか入れ換えができないという事業者が多い。
今後、地方部では路線バスも含めてタクシーなど公共交通機関の「公営化」というものも進んでいくのではないかとされている(事業継承が困難などの理由で廃業が目立つなか、公共交通機関の維持を行うため)。そうなると、諸外国のような「ライドシェアサービス」に頼らざるを得ないような地域が出てくる可能性もあるので、とにかくいまは試験的でもいいからサービスを開始して、日本に馴染むライドシェアサービスというものを考えていく必要性はあるものと考えている。
そのようななかで、テレビ番組に出てくるコメンテーターからは否定的なコメントが目立っている。「犯罪(ドライバーからの)が続発するのではないか」というコメントも多く聞かれる。女性から見ればやはりその辺りは大いに気になってしまうところだろう。ただ、それは事業者のタクシーであっても、犯罪とまではいかなくとも、嫌な、あるいは不安を覚えるような経験をした人は少なくないはずだ。