この記事をまとめると
■EUやメルセデス・ベンツなどがEV推進政策の方針転換を発表している
■レクサスとホンダはそれぞれEVに関する積極的な方針をいまだに撤回していない
■適切なタイミングでEVを導入するべきだが車種のラインアップを増やすほうが先決だ
欧米諸国のメーカーは電動化戦略を早々に見直し
EU(欧州連合)では、2035年以降、二酸化炭素を排出するエンジン搭載車の新車販売を禁止する方針だった。それが合成燃料を使うエンジン車の販売を容認する方針に変わっている。メルセデス・ベンツも、2030年以降に販売する新車は基本的に電気自動車とする目標を掲げていたが、これを取り下げた。
メルセデス・ベンツの全車をエンジンが搭載されない電気自動車に置き換える目標は、2021年に「市場が許す限りは」という前提に基づいて発表された。フォルクスワーゲンも2030年に新車販売台数の50%を電気自動車にするとしているが、これも目標だ。
つまり、「エンジンを廃止して電気自動車(燃料電池車を含む)のみにする」というメーカーの方針は、決定事項ではなかった。それでも各種の報道を含めた世間の受け止め方は、「エンジン、すなわち内燃機関は終焉を迎える」というものだった。
ちなみにカルロス・ゴーンは、日産に在籍していた2017年、起業家に向けたイベントの講演で「2022年から2023年には、無人運転のロボットタクシーが実現しているだろう」と述べた。いまは2024年だが、日本において実用化されているのは運転支援機能で、無人運転のロボットタクシーはまだだいぶ先の話だ。
このように、電気自動車や自動運転の普及には、供給メーカーの技術開発も大きな影響を与える。メーカーの垣根を超えた今後の技術進歩に頼るところが多く、行政の力の入れ方にも左右されるから、自動車メーカーのトップでも不確定な予測を立ててしまうことがある。