この記事をまとめると
■ミニカをベースに三菱が省燃費性能を突き詰めた50台の限定モデル「ピスタチオ」
■ピスタチオは1.1リッターエンジンを搭載し、軽自動車サイズながら普通車登録だった
■当時としては高価だったピスタチオの受注台数は40台ほどにとどまったといわれている
装備内容はスポーツカーにひけを取らない三菱のエコカー
3ドアハッチバックボディに5速MTのみの組み合わせ、と聞いてどんなクルマを脳裏に思い浮かべるだろうか?
追加情報としてはベース車よりも大排気量のエンジンを搭載しながら、足まわりの構成部品や軽量アルミホイール、アルミ製ボンネットやリヤシートバックに薄板軽量ガラスを採用して軽量化も実施し、空力特性を向上させるエアロパーツも標準装備とした上で、50台限定でリリースしたモデルである。
ここまで聞くとさぞかしホットなモデルかモータースポーツベースのコンペティショナルなモデルと思ってしまいそうだが、この車種は三菱が1999年に発売したピスタチオというエコカーなのだ。
このピスタチオは同社のベーシック軽であったミニカをベースとして作られた超低燃費車で、心臓部にはGDIと呼ばれる直噴技術を採用した1.1リッターの4気筒DOHCエンジンを搭載。そのためボディサイズは軽自動車であるものの、普通車登録となっていた。
また、不要な燃料消費を抑えるアイドリングストップ機能や、燃費への影響が少ない電動パワーステアリングの採用、そして前述した軽量化と空力特性の向上によって、カタログ燃費で30.0km/Lという数値を叩き出していたのである。
ただ、このモデルは低燃費をマークするために作られた特殊なモデルということもあり、販売先は自治体や公益企業を対象としており、50台限定の受注生産とされていたのだが、実際は40台ほどの生産に留まったと言われている。
価格は95.9万円と、現在の基準で考えれば安さすら感じてしまうものだが、当時のミニカのエントリーモデルの価格が55.5万円、乗用モデルでも73.9万円であったことを考えると、台数が売れなかったのもやむなしといったところだろうか。
見た目はよほどのマニアでない限りはミニカとの違いを見つけるのが難しいほどだが、ボディカラーを車名のピスタチオになぞらえたシトロンイエローとロアールグリーンの2トーンカラーとしているのが最大の特徴で、新車時は販路が限られていたため、一般ユーザーに渡ることはなかったが、企業から放出された個体がわずかながら中古車市場に流通しており、極まれに中古車情報サイトなどでその姿を見ることができる。