BEVが世界的に失速したわけじゃなくハイブリッドがより絶好調なだけ! これを機に地球環境とクルマについて世界規模で考えるべき!! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■世界的にHEVが売れているが、じつはBEVも売れており、単純に「BEV失速」と言い切れない

■自動車通勤が多いアメリカではガソリン価格の高値安定によりこれまで以上にHEVに注目が集まっている

■地球環境を意識したなかでのクルマのあり方を世界的に話し合ういい機会が訪れている

アメリカでは決してBEVが売れていないわけではない

 いま世界的にHEV(ハイブリッド車)がよく売れているとされている。JETRO(日本貿易振興機構)のリポートによると、アメリカにおける2023歴年(2023年1月~12月)締めでの年間新車販売台数のなかで、HEVの販売台数は120万6087台の前年比47.5%増で、新車販売台数全体(1561万6878台)の7.7%を占め、BEV(バッテリー電気自動車)よりわずかに多いこととなった。ただし、BEVも前年比47.1%増の119万2318台を販売しているので、「HEVがBEVの需要を喰った」とか、「BEV失速」ともいい切れなくなっている。

 2023年9月に南カリフォルニアを訪れレンタカーで走っていると、周囲にHEVが多く走っていることに気がついた。現地で話を聞くと、確かにHEVのニーズは増えており、とくにHEVでは先駆メーカーでありラインアップ数も多いトヨタ車の販売台数を押し上げているとのことであった。

 話を聞いた事情通は「ここ数年、トヨタ車はHEVしかラインアップしないモデルもありました。BEV普及がとくにカリフォルニアでは進むなか、HEVだけで勝負して大丈夫なのかなと思っていましたが、いまでは的確なマーケティングリサーチに基づいていたものなのかと感じております」と正直なところを語ってくれた。

 日本よりはるかに多様性に富んでいるアメリカなので、ひとつの傾向がすべてというわけではない。ゼロエミッションで地球環境を改善したいと思いBEVに乗る人もいるだろうが、アメリカ以外でも海外では燃料費の節約(ガソリンより電気のほうが安い)や、メンテナンスコストの削減(エンジンオイルの交換など)などを意識したBEV普及の傾向もあるとのこと。

 今回のアメリカでのHEV普及は燃料費負担の軽減という側面が大きいよう見える。AAA(アメリカ自動車協会)のウェブサイトにある全米各州の平均ガソリン価格がわかるページでの本稿執筆時点での全米平均ガソリン価格は1ガロン(約3.78リットル)あたり3.598ドル(約543円/1リットルあたり約143円)となっている。ガソリン価格が全米でもとくに高いカリフォルニア州では、1ガロンあたり5.350ドル(約807円/1リットルあたり約213円)となっている。単純計算でも日本よりガソリンが高くなっているのである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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