柔らかければ乗り心地がいい……とは限らない! 固いからって安定するともいい切れない! クルマのサスペンションはあまりに奥深い世界だった (1/2ページ)

この記事をまとめると

◾️サスペンションの固さは乗り心地を大きく左右している

◾️サスペンションは柔らかければ柔かいほどいいというわけではない

◾️乗り心地と操縦性のバランスをとらねばならず、サスペンションの設定は非常に奥深い

サスペンションが固いってなに?

 いつもと違うクルマに乗ったとき、誰もが知らず知らずに比較している性能がある。それは乗り心地のよし悪しだ。この乗り心地を大きく左右しているのがサスペンションの固さ。

 サスペンションは路面の凸凹の影響を和らげるショック吸収装置の役割と、タイヤを路面に対して常に垂直を保つようにする、ふたつの大きな役割が与えられている。

 このふたつの機能を考えると、仮にどこまでも真っ平らな路面が続くとすれば、クルマにサスペンションは必要ない。しかし、現実の路面には大小さまざまな凸凹やうねりがあり、絶えずショックを受け続けているので、サスペンションの役割はかなり重要。

 そのショック吸収装置としてのサスペンションの主な要素は、スプリングとダンパーだ。基本的にショックを吸収するのはスプリングの仕事。でもスプリングだけだと、入力があったときにいつまでも伸び縮みを続けてしまうので、その振動や揺れを止めるためにダンパーと組み合わせて構成されている。

 そしてサスペンションの固さとは、このスプリングのバネレートとダンパーの減衰力のことをいう。

 たとえば、バネレートの低い(柔らかい)スプリングと減衰力の弱いダンパーを組み合わせれば、乗り心地はフワフワになるし、バネレートが高く、減衰力も強ければ、ガチガチのサスペンションになる。

 だったら、バネレートも減衰力もソフトにすれば、乗り心地がよくなってベストじゃないか、と思うかもしれないが、ハナシはそんなに簡単ではない。

 まず、スプリングは車体の重さを支えるものなので、車重が重いクルマは、スプリングレートも高くしなければならない。また、サスペンションのストロークには限りがあるので、スプリングを柔らかくした結果、サスが底突きするようになると、ショックがダイレクトに車体に伝わり、サスペンションの意味がなくなってしまう……。

 さらに、バネレートが弱いとピッチングやローリング、バウンシングが大きくなって、クルマの姿勢が乱れやすくなってしまい、速度域が高くなるとフラフラ、ゆらゆらして不安定この上ないし、減衰力が弱いのも、フワフワ感が収まらず、かえってクルマに酔いそうになることもある。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

愛車
日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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