この記事をまとめると
■トラックベースの「特装車両」は少なくない
■特装車両には用途に合わせた架装が施されている
■タンクローリー、バルク車、生コン車について解説
さまざまな荷物を運ぶトラックベースの「特装車両」
あらゆる荷物を運んで日本の流通を支えている、多種多様なトラックたち。一般的な平ボディや冷凍車、ダンプなどのお馴染みなものとは異なり、あまり馴染みのないトラックを見ることがあるだろう。今回はそんなトラックベースの特装車両を考察する第二弾をお届けしたい。
ガソリンスタンドにガソリンや軽油などを搬入するのは、特装車両のなかでは普段から見る機会が比較的多いタンクローリーである。もちろん積荷ごとにあらゆる種類が存在しているのだが、今回は液体を運ぶタンクローリーに着目してみたい。
タンクローリーとは、円筒形のボディを搭載したトラックのことを指す言葉。危険物を積むタンクの上部にはマンホールなどの付属装置が設置されているのだが、それらを守るために周囲に防護枠を設けることが義務付けられている。なんらかの原因でマンホールから危険物が溢れても、地面へと流れ落ちないようにする役目も担っているのだ。さらには横転しても完全に逆さまにならぬよう、側面枠と呼ばれる突起物が取り付けられているのもタンクローリーの特徴である。
個性的な形状を見せる外装だけではなく、タンクの内部には液体を運ぶための細工がなされている。タンクには溶接された仕切板と呼ばれる間仕切りが設けられており、タンクの内部に独立した小部屋を複数作り出している。その小部屋は積荷が一室4000リットル以下になるように定められており、その小部屋を複数設置することでガソリンや軽油などの異なる液体を混載することを可能としている。
積荷となる液体は、前後左右に荷重が移動するという特殊な性質を持っている。自家用車のドリンクホルダーに水を入れた紙コップを置いた場合、自動車の挙動によって水が波打つことは想像できるだろう。タンク内も同様で、単なる空洞であれば荷物である液体が移動してしまい、右折や左折の際に横転してしまう危険性をはらんでいる。それを避けるべく小部屋にわけられており、さらには防波板が取り付けられるという工夫が成されているのだ。