クルマの向きの変えやすさのこと
回頭性とは、ハンドルを切ったときの、クルマの向きの変えやすさのこと。「回頭」は、もともと船舶用語で、「船首の向きを変えること。変針」という意味で、それに接尾辞「性」がついたのが、「回頭性」。
この回頭性のいいクルマの条件は、
①フロントの慣性質量が小さい
②ホイールベース・トレッド比が小さい
③(全長が同じなら)ホイールベースが長い
④重心がクルマの中心に近い
⑤重心高が低い
⑥車重が軽い
⑦CP(コーナリングパワー)の高いタイヤを装着している
といったところ。
軽量コンパクトなミッドシップスポーツカーが、「回頭性がいい」と言われるのは、上記の条件をほとんどクリアしているため。
ミッドシップ車は、重たいエンジンが、フロントではなく、車体の中心にレイアウトされているので、車体の前・後(Z軸まわり)の慣性モーメントが小さく、より小さな力でヨー(車体を曲げる力)を発生・収束させられる特徴があるので、回頭性がいい。
同じように、エンジンが後ろにあってノーズが軽いRR車は、リヤ荷重は大きくリヤのグリップが高い分、フロントの荷重は少なくグリップ力は小さいので、ステアリングの応答性は優れているとは言えず、回頭性はさほど期待できない……。
反対に、フロントエンジンでも、RX-7やRX-8のように、いわゆるフロントミッドシップなら、回頭性のいいクルマもある。というわけで、回頭性は駆動方式だけで決まるのではなく、上記の7つの条件のトータルで決まると覚えておこう。