【意外と知らない】ESCってどんな装置? (1/2ページ)

ブレーキを使ってクルマの姿勢を安定させる装置

 横滑り防止装置というのが日本語の名前です。トヨタではVSC (Vehicle Stability Control)、日産とスバルはVDC (Vehicle Dynamics Control)、ホンダはVSA (Vehicle Stability Assist)、マツダはDSC (Dynamic Stability Control)と呼んだりしていますが、全部同じ装置です。

 クルマの走行状態を安定化させるシステムで、具体的にいえば4つのブレーキをそれぞれ別々にコントロールすることで実現します。つまりドライバーにはできない離れ業であり、それによって安全性を高める効果があります。

 そのバラバラの名称を統一化することを目指して、日本ではESC (Electric Stability Control)という名前が推奨されています。一般のユーザーが混乱しないように、できれば名前は同じほうが望ましいことでしょう。さらに同じメーカーでもユニットのサプライヤーが異なると名称も変わる場合もあるので、さらに複雑です。この名称については日本だけでなく、世界中で自動車メーカーがオリジナルの名称を付けてしまっています。ちなみにこのユニットを開発したボッシュではESP (Electric Stability Program)という名前になっています。

 具体的なメカニズムについては、各ホイールの回転センサーとステアリングセンサー、そしてGセンサーとABSユニットというのが基本的な構成になります。ホイールの回転センサーの回転差と、Gセンサーからのデータによって、クルマの進行方向を判定します。その情報とステアリングセンサーからのポジション情報が一致しない場合に、クルマが横滑りをしていると判断して、エンジンの出力を絞り、ブレーキをかけます。そのときのブレーキは4つのタイヤを別個に制御することで、クルマの動きを制御することが可能になります。

 このなかではホイールの回転センサーとABSユニットは、元々ABSで採用されてきたものです。問題はGセンサーで、そのコストが高価だったために、なかなか普及するのは難しかったのです。


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