地元系のジュースかと思ったらまさかの! ジャカルタの商店に並べられた「瓶」はなんと「ガソリン」だった

この記事をまとめると

■インドネシアでは「ボトルガソリン」というものが販売されている

■二輪車がその店舗に立ち寄ってその場で給油を始めるのが習慣化している

■BEVなどを見かけることもあるが、いまだ住民の移動を支えているのはガソリン車だ

住民の生活を支えているボトルに入った液体

 海外に出かけけたときの醍醐味のひとつが、日本ではおよそ信じられない風景に遭遇することだ。成長著しいインドネシアではあるが、いまだ昭和の日本のような活気のなかに混とんとした風景が折り重なっており、懐かしさとともにその風景を楽しんでいる。

 ジャカルタ市内の裏街道や郊外の田舎道をタクシーで走っていると、ロードサイドの店舗の軒先にボトルに入った液体が売られている。「なんだろう?」と思っていると、地元事情通が「あれはガソリンだよ」と教えてくれた。そう、インドネシアでは商店の軒先にボトルに入ったガソリンが売られているのである。もちろん、その量からいっても販売の対象のメインは二輪車となっている。

 インドネシアでは、四輪車よりは二輪車のほうがまだまだ多く走っており、二輪車が通りがかりに軒先に立ち寄ってガソリンを給油していくというのである。日本ではもちろん厳しい規制もあるので、一般的な商店でボトルにガソリンを入れて販売することはできない。ちなみにテレビ番組でオランダのホームセンターが紹介されていたことがあったが、そこでは1ガロンほど入りそうな大きなペットボトルのような容器に入った灯油が、店内で販売されていた。

 インドネシアでは2018年に陸上競技のアジア大会を開催しており、そのタイミングで三輪タクシーのバジャイの走行可能エリアの規制や露店の排除など、街の浄化が進められた。そのため、ジャカルタ市中心部では「ボトルガソリン」はなかなか見かけることは少なくなっている。

 同じように二輪車メインのような細い道路沿いの商店では、「ボトルガソリン」の発展型ともいっていいのだろうが、ガソリンスタンドにある給油機が1機だけポツンと置かれているケースもある。間口の狭い店舗の軒先に給油機が1機あるだけで、その風景はとてもガソリンスタンドとは呼べない。日本でいえば、お米屋さんなどの小売店の敷地内にある灯油の給油機のようなノリとたとえればわかりやすいかもしれない。

 実際見たことはないが、給油機ならば四輪車にも対応することができるだろう。この給油機だけをポツンと置く商店は、ある路地ではかなり短い間隔で給油機が置かれていた。

 一般的なガソリンスタンドも、日本よりも多く目にすることができる。ちなみにタクシーは、日本ではまだまだLPガスが多いのだが、インドネシアではガス仕様は少数となり、ガソリンを燃料としているケースが多い。BEV(バッテリー電気自動車)タクシーは空港で待機していることが多く、いまだに試験的導入レベルになっているといっていいだろう。

 ガソリンスタンドは二輪車も頻繁に給油にくるので、いつでもバタバタしている印象を強く受ける。二輪車が多く走るインドネシアだけに、ボトルガソリンや給油機ひとつだけ置く商店など、まだまだニーズがあるのだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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