この記事をまとめると
■信号は自動車や歩行者が横断するために設けられているため電車が止まることはない
■路面電車になると電車が停止して自動車や歩行者を通行させる場合がある
■日本では路面電車が少ないので珍しい光景となっている
路面電車は電車なのにクルマと同じ信号を守る
踏切というのは、線路をクルマや人、自転車が横断するために設けられているもの。遮断機があるなしにかかわらず、踏切では一旦停止して左右を確認、前方に余裕があれば渡れるというのは、教習所でも習う基本中の基本だ。
その逆に鉄道のほうが止まって、クルマを行かせるというのは基本的にはなくて、線路内は鉄道会社のものだったり、クルマの都合で鉄道を止めると運行に支障が出たりするのが理由だ。
しかし、なかには鉄道のほうが停止して、クルマが通行する例がある。「そんなことあるのか?」と思うかもしれないが、一番お馴染みなのは路面電車で、クルマと混走している部分では路面に設置された信号に従って走るのが前提。これは「線路は道路に設置すべし」という軌道法に沿って設置されているから。いわゆる鉄道は鉄道事業法によって逆に「道路に設置してはならない」とある。
軌道法ではさらに、「道路の中央部分に設置する」と規定されているので、自動車用の信号に従って走ることになる。ただし、この法律の定義は曖昧な部分も多くて、道路の中央でなくて、横に作るのも認められているし、さらに言うと道路と並走していない場所に設置するのも例外として認められていて、都内に残る唯一の路面電車、都電荒川線(東京さくらトラム)は、かなりの部分が道路から離れた場所を通っている。逆に江ノ島電鉄は道路と並走する部分もあるものの、鉄道扱いとなっている。
都電荒川線に乗るとわかるように、道路を電車が横切る部分もあって、そこではクルマが通行するのを電車が待っているという光景も見られる。初めて見ると不思議な光景だったりする。