この記事をまとめると
■クルマは数年に一度フルモデルチェンジを行うことが多いがフルモデルチェンジに定義はない
■フルモデルチェンジとは主に顧客の購買意欲を刺激するためのマーケティング手法だった
■今後フルモデルチェンジするモデルは完全新設計のまったく新しいモデルとなる可能性が高い
フルモデルチェンジに定義はない
クルマは数年に一度、フルモデルチェンジをする。ただし、フルモデルチェンジには定義はない。技術的にいえば、車体を完全に新設計するときが実質的なフルモデルチェンジだといえるが、同じ車体を概ね2世代から3世代に渡って使う場合が多く、内外装のデザインやパワートレインの変更などを伴って、フルモデルチェンジと呼ぶのが一般的だ。
つまり、フルモデルチェンジとは、自動車メーカー業界で使われてきたマーケティング用語だといえる。
とくに1960年代から1970年代の高度経済成長期の、庶民にとってクルマが憧れの的であった時代に、ユーザーの購買意欲をかきたてるために、自動車メーカー各社はこぞってフルモデルチェンジを積極的に行ってきたという歴史がある。
フルモデルチェンジのタイミングでは、ライバル車の動向など市場環境が大きく影響するのは当然だ。
いまならば、コンパクトSUV、トールハイトワゴン軽といったカテゴリーのなかで、ライバルよりも新しい商品イメージを維持したいと、自動車メーカー各社は考える。販売店としても、ユーザーに対して買い替えを提案しやすい。
一方、フルモデルチェンジは商品特性によって大きく異なる。
たとえば、ロングセラーのトヨタ「ハイエース」(200系)は2004年に登場し、マイナーチェンジを繰り返しながらすでに20年が経過している。サイズ、使い勝手、価格がユーザーにベストマッチしており、ライバルを圧倒的に凌ぐ高いシェアを保ち続けている。
その上で、「いつ300系が登場するのか?」という話がネット上で話題になってきた。
300系については、製品企画を担当するトヨタ車体関係者が「グローバルハイエースとして国内向けにEVを導入する可能性を検討している」と話すも、200系のフルモデルチェンジという流れはいまだに見えてこないのが実状だ。
また、マツダ「ロードスター」も4代目NDが登場したのが2015年。それから8年経った、2023年10月に大幅改良というマイナーチェンジを行った。開発責任者は「これからも、可能な限りNDを続けて売っていきたい」と話す。その裏には、マツダが2030年を目標にフェイズ1〜3までの3段階で電動化戦略を描いていることが大きく影響している。
今後、どのメーカーでも電動化が加速し、とくにEVになると完全なるフルモデルチェンジとなるモデルが続々と登場することが予想される。いや、その場合はフルモデルチェンジというより、現行車が生産中止となり、まったく新しいモデルが登場するということになるだろう。