この記事をまとめると
■スズキ・スイフトがフルモデルチェンジを敢行
■新開発の3気筒エンジンを搭載し、主力グレードはマイルドハイブリッド仕様となった
■軽量コンパクトで運動性能が高いのも特徴だ
後席に大人が乗る可能性があるなら要試乗!
クルマが好きなユーザーの間で高い人気を得ているコンパクトカーがスズキスイフトだ。人気の秘訣は、走り・曲がり・止まるという、クルマの基本性能を大切に開発していること。後席や荷室が広いとはいえず、特別なメカニズムや装備も採用されないが、各部をていねいに作り込んだ。そのために違和感がなく、気持ち良く使える。逆にいえばコンパクトカーは低コストで製造する必要があり、我慢を強いるところも少なくないが、スイフトには当てはまらない。
このスイフトが先ごろフルモデルチェンジを受けた。外観はボンネットから前後のフェンダー、ドアパネルにかけて、ボディを囲むようにラウンドした形状だ。開発者は「ボンネットやドアなどの開閉する部分はズレが生じやすい。そこに1本のラインを通すには、製造の精度なども重要になる」と述べた。
これらのボディ形状の工夫により、外観はワイドな3ナンバー車風に見えるが、実際は全幅が1695mmの5ナンバー車だ。全長も3860mmと短く、2WDの最小回転半径は4.8mで小まわりの利きもいい。フロントピラー(柱)やウインドウの角度を立てたから、斜め前方も見やすく、ボンネットは手前が視野に入って全幅も把握しやすい。混雑した街なかや駐車場でも、運転しやすく感じる。
内装は歴代スイフトの特徴として、ていねいに作り込んだ。インパネ周辺のデザインはオーソドックスだが、エアコンのスイッチは高い位置に装着されて操作性もいい。インパネ中央のモニター画面などは、ドライバー側に8度傾けて、視認性や操作性を向上させた。
インパネをこのようなドライバー中心の配置にすると、助手席に座る乗員に疎外感が生じやすいが、立体的な形状にして上質に感じさせる。
前席はシートの内部に使われるウレタンを見直して座り心地を向上させた。背もたれは腰を包む形状で、着座姿勢も安定する。座面を含めて、背中から大腿部の付近をしっかりと作り込み、骨盤を確実に支える。シートのサイズにも余裕があり、肩まわりのサポート性もいい。街なかの走りから長距離移動まで、長時間の乗車でも疲れにくい。
前席の座り心地がよい割に、後席はいま一歩だ。前席と違ってウレタンなどは先代型と共通化されている。座り心地は柔軟だが、体が沈んだところで、もう少し確実に支えて欲しい。背もたれの角度は、日本車としては立たせている。足もと空間も狭めで、身長170cmの大人4名が乗車したとき、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシひとつ半だ。4名乗車は可能だが広々感は乏しい。後席の居住性は先代型と同等だが、4名で乗車する機会があるなら、広さと座り心地を確認したい。ルームランプも運転席の上部には装着されるが、天井の中央には備わらず、後席の手もとは照らせない。
乗降性は、前席はいいが、後席はドアの開口部の上端が少し低い。そのために頭を少し下げて乗り降りするから注意したい。
荷室はとくに広くないが、欧州などでは、コンパクトカーにも実用性が求められる。そこで全長が3900mm以下に収まるクルマとしては、荷室長に余裕を与えた。全長がスイフトよりも長いノートやフィットと同程度の長さを確保する。