ひとつでも当てはまったら旧車趣味はあきらめたほうがいい? 旧車乗りにつきまとう7つの問題 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■旧車を趣味にするには向き不向きがある

■お金や時間といった労力がかかるほか、狭い世界なので人間関係もシビアになりがちだ

■壊れることが前提で、突然の故障などに直面しても耐えられるおおらかなメンタルも必要だ

旧車趣味に向かない人とは?

「私はこれで会社を辞めました」

 このキーワードだけで『あのCM』の映像の記憶がよみがえった方は、これまでにそれなりの人生経験を積んできた世代なのだと推察します(笑)。当時はメガネをかけたサラリーマンが小指を立てて「これ」と表現した「これ」がそもそも何なのか、子どもだった筆者にはサッパリわかりませんでした。いま思えば純朴でしたね。

 やがて大人になり、「これ」の意味がわかるようになると同時に、コトの重大さにも考えが及ぶようになります。「これ(女性問題)で会社を辞めるとか、いったい何やらかしたのよアンタ」とツッコミたくなるわけです。もちろんCM上の演出であり、あくまでもネタにすぎないんですが、昭和の時代も、令和の現代においても変わらず現実に起こっていることもまた事実なわけで……。

 それはさておき、見方を変えると、旧車界隈においても「私はこれで旧車趣味を辞めました」な事例も少なからずあります。そのエピソードをうかがうと、あまりのやるせなさに思わず「とりあえず飲みに行きましょう」といいたくなるものから、「そりゃ旧車乗るには向いてないんでない?」とツッコミたくなるものまでさまざまです。

 そこで、これまでの実体験や取材などを元に「これがあてはまるなら旧車趣味はあきらめるべし!」な7つのチェック項目」をまとめてみました。

1:納得のいく保管場所が確保できない問題

 旧車と切っても切り離せないのが「保管場所」の問題です。あらゆる天災、クルマ本体の錆、そして盗難など、あらゆるリスクから守ってくれる保管場所として理想的なのはやはり「屋根付きのガレージ」です。

 自宅にビルトインガレージ、あるいは自宅の敷地内に屋根付きのガレージを造ることができれば理想ですが、都市部であればあるほど広い敷地を確保するのが難しくなります。最近では、1階がガレージで2階が住居という「住居一体型賃貸ガレージハウス」も増えてきました。資金面に余裕があれば理想的な環境ですが、家賃が月に10万円を超える物件も多いのも事実。

 筆者自身、なかなか理想的な保管場所が確保できず、そのとき所有していた旧車を泣く泣く手放したことがありました。このまま朽ちていくのもクルマに対して申し訳ないし、痛んでいく愛車を目にするたびに自分の無力さを痛感する羽目になり……。それならばいっそ手放して楽になろう(あとから猛烈に悔やむことになります)。そんな苦い記憶が残っています。

2:部品が見つからない(高くなりすぎて買えない)問題

 旧車を所有するうえで避けて通れないのが部品の問題。最近は各自動車メーカーで再生産の機運が高まってきてはいるものの、その恩恵を受けられるクルマやオーナーはまだまだごく一部。多くの旧車乗りにとっての最大の主戦場であるYahoo!オークションですら、「ここ最近はめったに部品が“出なく”なった」というモデルも存在します。

 そもそも製廃(製造廃止)の部品が多すぎて修理が追い付かない、見つかったとしても以前では考えられなかったような高値で断念せざるを得ないことも。

3:クーラーを含む快適装備がないと耐えられない問題

 クーラーを含めたエアコン、パワステ、パワーウインドウ、カーナビ……などなど。数十年前に作られたクルマに現代車の快適性を求めること自体がそもそもナンセンス。「暑い・うるさい・臭い」なんていっていたら旧車には乗れません。


松村 透 MATSUMURA TOHRU

エディター/ライター/ディレクター/プランナー

愛車
1970年式ポルシェ911S(通称プラレール号)/2016年式フォルクスワーゲン トゥーラン
趣味
公私ともにクルマ漬けです
好きな有名人
藤沢武生

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