【ル・マン24時間レース】総合優勝はポルシェ! トヨタは1台が完走

LMP1クラスはポルシェの1-2フィニッシュ

 2017年のル・マン24時間レースが行われ、カーナンバー2のポルシェ919ハイブリッドが総合優勝を果たした。

ル・マン24時間
2016年、トップを走りながら残り3分30秒でトラブルに見舞われ、初の初優勝を逃したトヨタ。今シーズンは優勝候補の最右翼であり、3台のTS050ハイブリッドを投入してル・マンに臨んだ。

 予選ではカーナンバー7のドライバーのひとり、小林可夢偉選手が3分14秒791という、コースレコードの驚異的なタイムを叩き出してポールポジション、2番手も中嶋一貴選手がアタックしたカーナンバー8が奪い取り、フロントローを独占した。ライバルであるポルシェは3番手、4番手とセカンドローをキープ。

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スタートは、トヨタの9号車に、他車が飛ばしたパーツがヒットして右フロント部のカウルを破損するというトラブルがあったものの、走行は可能な状態。7号車がトップ、ポルシェの1号車とトヨタの2号車が2位争いを繰り広げながらレースは進んでいく。

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しかしスタートから9時間が過ぎたころ、2位を走行していたカーナンバー8のトヨタがハイブリッドモーターのトラブルで緊急ピットイン! 修復に2時間を費やしてレースに復帰することになった。これでトップは7号車のトヨタ、2位に1号車のポルシェ、3位は9号車のトヨタという順位に。


しかしさらなる悲劇がトヨタを襲う! 10時間を経過したころに、トップを快走中の7号車がクラッチトラブルに見舞われ、コース上にマシンを停めてしまい、リタイヤとなった。これでポルシェの1号車がトップ、トヨタの9号車が2位に上がるが、なんと9号車は他車に追突され、駆動系にトラブルを抱えてコチラもリタイヤという事態になった。

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 わずか30分の間に首位争いを繰り広げていた2台を失ったトヨタ。8号車は走行を続けるも、ハイブリッドモーターのトラブルで失った時間は大きく、ポルシェにトラブルが起こらない限り優勝は不可能な状態である。

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 そして大きなトラブルなく安定した走行を続けたカーナンバー1のポルシェ919ハイブリッドは安全策をとりながら安定の走行を見せ、あとはチェッカーを迎えるだけ、だと思われた。

 しかしル・マンはじつに恐ろしい。総合2位を走行するLMP2の38号車に13ラップもの差を付けて走行している1号車が、残り3時間50分のところでスローダウン! モーターの力のみで走行するもピットまで戻れずに、第2シケインの先でマシンをストップしてしまう。油圧系のトラブルと伝えられた。

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 これでトップはLMP2クラスの38号車、ジャッキーチェンDCレーシングに! ポルシェの2号車は総合トップを取り戻すべく走行を続ける。

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 38号車を猛追する2号車のポルシェ919ハイブリッド。そして残り1時間少々のところでトップを奪取することに成功! そのままチェッカーを受け、ポルシェは3年連続の総合優勝を果たした。

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 総合2位はLMP2クラスのカーナンバー38ジャッキーチェンDCレーシング。カーナンバー8のトヨタは総合9位という結果だ。


今年もル・マンの女神はトヨタに微笑まなかった。ここまで努力をしたトヨタがル・マンを制覇するために足りないものはなんだろうか? 唯一あるとしたらル・マンの文化に溶け込むこと、「継続」なのかもしれない。もちろん企業としてみれば、モータースポーツは莫大なコストがかかり、表面的にはその効果がわかりにくいもので、続けて出場し続けることには困難もあろう。

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 よく「勝つまではやめられない」というが、勝ったからやめるという精神では、モータースポーツの世界では通用しない。勝ってなお、今度は目標となり、他メーカーの挑戦を受ける立場として、そのレースの歴史、伝統を紡いでいくという志が大切なのではないだろうか。

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そしてそうしたことを、トヨタはよくわかっていて、おそらくこの先もル・マンにチャレンジしてくれるのだろう。来年、もしくはもっと先かもしれないが、日本を歓喜の渦に包んでくれる日がくるハズだ。私も含め、モータースポーツファンはその日を楽しみに待ってほしい。

※結果は暫定


石田貴臣 ISHIDA TAKAOMI

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愛車
トヨタ・エスティマ(MCR30)
趣味
読書(ミステリーが主)、TVでのサッカー観戦(バルサ/PSG/アルゼンチン代表/UCL全般)、映画鑑賞
好きな有名人
リオネル・メッシ、アラン・プロスト、綾辻行人、有栖川有栖、田中 瞳

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