この記事をまとめると
■ダイハツで不正が行われていた時代のダイハツ車を所有することは本当に大丈夫なのか
■メーカー側で再検査して安全性能の基準は満たしていたため問題はないと主張している
■ダイハツの不正問題は単に衝突安全だけ改善されれば解決することではない
安全性は改めて確認された
昨年末の第三者委員会による報告を通じ、ダイハツの認証申請における不正問題は、出荷を停止し、生産も全国で1月末まで停止する事態となっている。
事の起こりは、側面衝突に関わる支柱への衝突実験で、不合格にならないよう、市販車とは異なる手を加えていたのが発覚した。そして、現行の新車だけでなく、1989年から不正行為はあったとされる。内容は、不正な加工だけでなく、虚偽の記載やデータの不正操作など、広範囲に及ぶ。
それらは、衝突時の安全性能に関わる部分であり、通常走っている際の走行性能に関わる内容ではない。したがって、当面、利用することに支障はないと考えられる。
しかし、正面衝突は自らの運転との関りが多いと考えられるが、側面衝突は、相手がぶつかってくる事故であるから、自ら安全運転をしていても防ぎようのない場合が多い。自分で対処しきれない衝突に関わる不正が行われたことに、不安がある。
また、ダイハツ銘柄だけでなく、ダイハツから軽自動車を中心に供給を受けてきた、トヨタ、マツダ、SUBARUも、同様の安全試験を通じて認証を得てきた車種があるので、該当車種であるかどうか確認しておくとよいだろう。
そのほか、万一の事故に際し、ドアロックが解錠されず、救助のためドアを開けられなくなる可能性があることも追加報告された。これについては、対応策が今後発表される予定だ。
側面衝突の認証における安全性については、不正発覚後に改めて検証した結果、基準の安全性能は満たしていることが確認されたとのことだ。
まとめれば、新車としての認証取得に際し不正はあったが、再確認によって安全性は確かめられたということである。
とはいえ、そもそも愛用してきたクルマのメーカーが安全に関わる開発過程で不正行為を行ったことへの衝撃は大きい。まさに消費者の信頼を裏切ることを隠して商売してきたことになる。裏切られたのは、消費者はもちろん、販売店も同様だろう。高齢者対応など、地域の住民との密接なつながりを持ちながら、福祉車両を含め、暮らしのためのクルマを提供してきたのがダイハツの販売店だ。
ダイハツの社長は1992年から永年にわたりトヨタから配属されてきた(2013~17年の三井正則を除く)。1967年からダイハツと業務提携し、のちに完全子会社として経営に関わってきたトヨタの責任も見逃せない。そもそも、クルマは、走る、曲がる、止まるの基本性能すべてが安全に関わる。単に衝突安全だけ改善されれば解決することではない。
社内の風土を改めるだけでは、消費者の信頼回復は難しいだろう。ダイハツ社員や販売店が、胸を張ってお客さまに売れる新車が出て、ようやく再出発の一歩が記されるのだと思う。その時が来るまで、ダイハツへの不信を完全に拭い去ることは難しいのではないか。