この記事をまとめると
■BYDをはじめ中国メーカーがお手頃なBEVを市場投入して存在感を示すようになっている
■BYDのモデルはオプションの設定が少なくお買い求めやすいことも好印象となっている
■柔軟にタイ市場に対応する中国系企業の姿を見ると、数年後は日本も同様な状況になっているかもしれないと感じる
オプションが少なくて悩まないから買いやすい
世界的にみるとテスラとともにBEV(バッテリー電気自動車)販売台数トップ争いを展開しているのが、中国BYD(比亜迪汽車)。“日本車潰し”というアプローチも指摘される欧州勢力の前のめりにも見えるBEV普及への取り組みだが、欧州ブランドで積極的にラインアップを拡大しているのは、日本ならば1000万円超えの高級ブランド車が大半となっている。
この傾向は欧州市場でも同じ。そんな欧州にBYDをはじめ中国メーカーがはるかにお手頃なBEVを市場投入し、大衆層をターゲットに存在感を示すようになると、慌てて規制をかけると騒ぎ出しているのはご存じのとおり。
確かに中国製BEVの価格設定は魅力的なものとなっている。すでに中国国内をはじめ豊富な販売実績もあるので、安かろう、悪かろうは少なくとも海外で展開しているブランドにはあてはまらないといえる。ただ、買い求めやすい、それだけで富裕層以外でBEVに興味を示す人を惹きつけているというわけでもなさそうである。
たとえば日本国内で販売されているBYD車をみると、装備一覧表で見る限りはアット3ではオプション設定はなく、ドルフィンではV2Lアダプター(AC充電口)のみがオプション設定されていた。ETCやリヤにもドライブレコーダーをつけようとすると、ディーラーオプションのようなものが設定されているようだが、以前より簡素化傾向にあるとはいえ、メーカーオプションの多い傾向のある日本車に比べると非常にシンプルなものとなっている。
中国系以外のICE(内燃機関)車での欧州からの輸入車でもオプション設定はシンプルなものとなっているが、BYDはそのなかでもシンプルさが目立っている。メーカーオプション設定が少ないということは、それだけ生産コストも抑えることができるわけで、フランスでBYD車が本格販売されたころ、現地のニュースでBYDオーナーに話を聞くと、購入時にオプションがほぼなくて買いやすいことに満足感を示すコメントを述べていた。