原油から精製されるなかで沸点が約30-180℃のもの
ガソリンは、クルマを動かすための燃料としてもっとも身近なもの。ガソリンは石油製品のひとつで、原油を精製して作られる。タンカーで産油国から運ばれてきた原油は、製油所の加熱炉で約350℃に加熱され、蒸気(石油蒸気)になって蒸留塔に送られ、沸点によって石油製品に分類・抽出される。
ガソリンは沸点30-180℃。灯油は170-250℃。軽油は240-350℃。残りの重たい油が、重油やアスファルトになる。
その特徴は、揮発性の高いこと(揮発性が高いので、「揮発油」ともいわれる)。常温中ではとても気体になりやすく、引火点はマイナス40℃以下で、非常に引火しやすい。引火すると、爆発的に燃え広がるので、その爆発力の高さが、エンジン出力の向上に都合がよく、熱エネルギーの機械エネルギーに変換するシステム=「エンジン」の燃料として、もっとも重宝されるようになった。
常温では基本的に液体で、本来の色は無色透明。しかし、ガソリンスタンドで売られているガソリンは、オレンジ色に着色されていて、灯油(透明)、淡黄色の軽油と見分けがつきやすいようになっている。
また、自動車用のガソリンは、環境に悪影響を与える硫黄分などを製油所で取り除き、環境面への対策も年々進められているほか、エンジンの清浄作用のある添加剤も石油会社ごとに研究工夫に取り組んでいる。
なお、消防法には、「ガソリンの運搬容器の材質は、鋼板、アルミニウム板、ブリキ板、ガラスその他総務省令で定めるものであること」と書かれていて、ポリタンクなど樹脂の容器にガソリンを入れるのは違法。
ガソリンは、ゴムやプラスチックなどの部品を腐食する可能性があり、さらに、ポリ容器は電気を通さないので、ガソリンに溜まった静電気を逃がすことができず、放電して火災を引き起こす危険性がある。クルマのガソリンタンク以外に、ガソリンを入れて持ち歩く場合は、必ず専用の携行缶を利用すること。
ガソリンには、現在1リットル当たり53.8円のガソリン税(正式には「揮発油税及び地方揮発油税」)が課され、さらにこのガソリン税にも消費税が課せられているので、二重課税になっているのだが、放置されたままになっている。
ガソリンの販売価格の約半分が税金である現状に対し、ドライバーはもっと抗議の声を上げるべきだろう。また、ガソリンは長期間使わないと「腐る」(酸化、揮発成分の消失、不純物の混入などによる品質低下)といわれており、できるだけ給油から半年以内には消費したほうがいいことも覚えておこう。