「カーボンニュートラル」=「エンジンの廃止」ではない! トラック業界から考える「燃料生成」の手段 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■トラックのカーボンニュートラル化について考える

■水素を使ったFCトラックが続々と開発されている

■現在、水素とCO2から合成燃料を作ったり植物からバイオ燃料を作ったりとさまざまな研究が行われている

エンジン車でもカーボンニュートラルを達成できる

 乗用車やトラックなどの移動体におけるカーボンニュートラルとは、実質的にはCO2(二酸化炭素)を増やすことなく移動できる状態で、EVのように排気ガスを出さなければいい、という単純なものだけではない。厳密に言えばEVだって、どうやって電気を作り出すか、車体やバッテリーの製造、廃棄によるリサイクルをどうするかまで考えたら、カーボンニュートラルを達成するのは難しい。

 やはり、再生可能エネルギーを使った電力で賄えればいいのだが、生活に必要な電力も再生可能エネルギーで供給しようと思ったら、いくらなんでも電力不足に陥ることになる。太陽光や風力だけでなく、潮力、地熱など日本に眠る資源を活用しようと思っても、無尽蔵にエネルギーを取り出し利用できるわけではないのだ。確かに水素を使ったFCトラックも続々と開発されて実証実験に用いられている。けれどもエンジンを使ったトラックでもカーボンニュートラルを達成できる手段はある。

 燃料に水素を使えば、燃焼時には水蒸気しか発生しないので、CO2はゼロだ。こちらも厳密に言えばエンジンオイルが微量ながら燃えるので、完全にはゼロにはならないが、植物性のベースオイルを使えば実質的にはカーボンニュートラルになる。

 水素を作り出す手段にもいろいろあって、従来は天然ガスから水素を取り出す方法を採っているが、これは生成時にCO2を排出することになるので、エコでもなんでもない。現在は水分解による水素生成のより効率の高い方法や、電力消費の小さい充填方法などが開発されている。どちらにせよ普及するにはある程度の時間が必要だ。


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