この記事をまとめると
■いまMT免許を取る人は全体の27%程度しか存在しない
■現在では競技で速く走るのであればATのほうが優秀と言われている
■「楽しさ」「気持ちよさ」などの観点からいまMTを選ぶべき理由を考察してみた
いまあえて「MT車」を買う意味はあるのか
いまどき、「速く走るためにMT車を買う」という人もほとんどいないだろう。競技の世界においても、峠道や深夜の首都高湾岸線的な世界においても、いまやオートマチックトランスミッション搭載車のほうが、MT車よりも“速い”わけだからして。そして燃費も、あまり興味がない分野なのでよくは知らないのだが、近頃はAT車のほうが良かったりもすると聞いている。
しかし、だからといって「じゃあMT車を買う理由はどこにもないね!」ということには決してならないこと、言うまでもあるまい。なぜならば、職業的なレーサーやラリードライバーではない我々一般ドライバーは、「速く走るため」にクルマを買っているわけではないからだ。
ならばなぜクルマなどという、本体価格が高価で置いておくだけでも駐車場代やら保険料やらがかかってしまう難儀なモノを、わざわざ買うかといえば――もちろん第一義としては「便利に移動し、同時に荷物なども運搬するため」というのがあるわけだが、わざわざWEB CARTOPの記事を読むような人は、決してそこだけには収まっていないはずだ。
「便利に移動するため」という理由に加え、「だって楽しいから」というシンプルな理由も持ち合わせているはずであり、もしかしたら「だって楽しいから。そして気持ちいいから」というほうが、わざわざクルマを購入する理由としては強いのかもしれない。
そのような「だって楽しいし、気持ちいいじゃん?」という部分をもしも重要視するのであれば、MT車の優位性はいまだ薄れてなどいない。まぁATの性能もずいぶん上がったいま、無理にMT車を買う必要もないとは思うが、「より楽しくて、より気持ちいいほうが素敵じゃない?」と思うのであれば、まだまだMT車を選ぶ意味は十分にある。
MT車の運転を「気持ちいい!」と感じる瞬間は多々あるが、ひとつにはそのときの自分の“気分”と”ギヤ”がぴたりと合った瞬間だろう。
AT車だと、「……ここはどう考えても3速に落として、ぐっと前に出たい気分だよね」という局面でも、機械あるいはコンピュータが高いギヤを選択したままの状態を強いられる瞬間がある。
まぁそんな場合でもキックダウンさせるか、もしくはシフトレバーやパドルでアレしてあげればいいわけだが、そのひと手間がうざいというか、「俺とクルマとの間に邪魔が入ってしまった」ような気分が訪れ、瞬間的に冷めてしまうのだ。
だがマニュアルトランスミッションであれば、「……ここはどう考えても3速に落として、ぐっと前に出たい気分だよね」という局面では、当然ながら自分で3速に入れればいいだけなので話が早い。スッと瞬間的に、そのときの自分の“気分”に合った走行を実践できるわけである。それが、気持ちいいのだ。