この記事をまとめると
■いま政府は「モーダルシフト」の構想を進めている
■「モーダルシフト」とは長距離の輸送手段をトラックから船舶または鉄道に切り替えること
■目的は「2024年問題」を打開するためとされている
長距離輸送のメインルートを船舶や鉄道に
2024年4月の働き方改革関連法の物流・運送業界への本格適用=トラックドライバーの時間外労働の規制強化がいよいよ秒読みとなった現在、業界内では今後発生するであろうドライバーの人手不足や輸送量の減少が懸念されている。
2030年度にはトラックによる輸送量が30%以上減るおそれもあるといわれるこの「2024年問題」を打開するため、国土交通省をはじめ政府では長距離の輸送手段をトラックから船舶または鉄道に切り替える「モーダルシフト」の構想を進めている。
このモーダルシフト、じつは近年生まれたものではなく、1981年7月に旧運輸省が出した答申「長期展望に基づく総合的な交通政策の基本方向」で公式に使われたもの。当時は第2次オイルショックの余韻がまだ残っていた時代。このときは省エネルギー政策としてモーダルシフトが提唱されていた。
そのいまから40年ほど前に打ち出された政策が、2024年問題の解決策として、そして二酸化炭素(CO2)を削減する手段として再び注目を集めているというわけだ。
上の図にもあるとおり、モーダルシフトはこれまで出荷元から納品先までの長距離を1台のトラック(=ひとりのドライバー)で数日かけて運んでいた積み荷を、そのルートの幹線となるところに港や貨物駅などの「転換拠点」を設定し、そこから船や鉄道を使い納品先近くの拠点まで運び、再びトラックで輸送するというシステムになっている。
これにより、長距離輸送で何泊も車中で生活するような勤務を減らし、若い世代や女性にも働きやすい仕事になるという働き方改革と、フェリーや鉄道の利用によりトラックの二酸化炭素の排出量も削減できるという環境面でのメリットも得られるといわれている。