クルマを作りたい若者が学ぶべきは「機械工学」は昔の話! 自動車メーカーが必要とする学問の領域は「CASE」により拡大しまくっていた

この記事をまとめると

■かつては自動車関連の職業に就くには専門学校や大学で機械工学や電気系工学を学ぶのが一般的だった

■次世代自動車の開発ではコネクテッドや電動化が重要で自動車メーカーはソフトウエアエンジニアの拡充を進めている

■若者とクルマとの関係性はさらに多様化しそうだ

自動車関連の仕事に就くためにいま必要なこと

 将来、どんな職業に就きたいか? 時代によって人気職業や人気の会社はいろいろ変わってきた。医者、弁護士、パイロットといった職種だったり、商社、生保、マスコミなどの業界だったり。また、自分が育った地域への貢献や、その地域から離れたくないために地方公務員の人気が長らく続いていたり。最近では、YouTuberだったり。

 そうしたなか、自動車に係わる職業については、昔から文系と理系に分かれてきた。理系については、現場のエンジニアを目指して自動車技術を学ぶ専門学校に入ったり、また大学で機械工学や電気系工学を学ぶというのが一般的だった。

トヨタ工業学園の卒業式

 それが最近では、自動車に係わる周辺ビジネスは大きく変化してきた。2010年代半ばあたりから、欧州発でCASE(通信によるコネクテッド、自動運転、シェアリングなどの新サービス領域、電動化)が次世代自動車の開発が事業展開においてキーファクターとなってきたからだ。

 直近ではSDV(ソフトウエア・デファインド・ヴィークル)と呼ばれるように、車載ECUやクラウドを介するソフトウエアが自動車の開発やビジネス構築で重要視されるようになった。そのため、自動車メーカー各社は「ソフトウエアエンジニアの拡充」を進めているところだ。

 そうなれば当然、IT関連についての基礎知識を学べる学校や学部を選ぶことが考えられる。

 また、2023年10月末から開催される、第1回ジャパン・モビリティ・ショーという新しい試みからわかるように、「クルマ」から「モビリティ」へと時代が大きくチェンジしようとしているなか、ソフトウエアエンジニアでも、機械系エンジニアでもなく、「クルマ×社会×人」に対する大きな視野を持てるような基礎学習をすることも必要になってくるだろう。

 このように、大きな時代変化のなかで、「クルマ好き」、「クルマに係わることが好き」、そして「クルマからモビリティへの変わっていく時代をリードしていくことが好き」など、若者とクルマ(またはモビリティ)との関係性はさらに多様化するのではないだろうか。

ジムカーナ競技で車両を整備する大学の自動車部員

 そのうえで、もっとも大切なことは「自分はこれから何をやりたいのか?」という気持ちを持ち、そのために学ぶこと。また、仮になんらかの事情で自分が目指す方向が変わっても、改めて「自分はこれから何をやりたいのか?」と意識を持って、新たなる学びを続けていくことではないだろうか。

 自動車産業界では近年、「100年に一度の大変革期」というのが常套句になってきたが、直近で業界内では、「想定して以上に強烈な大変革期」という意識を持つ人が増えている印象がある。これから自動車関連産業に関わろうとする若者にとっては、良くも悪くも、とても面白い時期であることは間違いないようだ。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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トヨタ・ハイエースキャンパーアルトピア―ノ等
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動物たちとのふれあい
好きな有名人
聖徳太子(多くの人の声を同時にしっかり聞くという伝説があるので)

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