価格は1億円を超えるといわれたがバブル崩壊で実際には販売されず
童夢の零をはじめとして、和製スーパーカーは全クルマ好きの悲願と言ってよかった。NSXなど、大手メーカーが何台かリリースすることで、日本でもスーパーカーは存在しているが、さらに欧州のように少量生産メーカーが誕生すると言うことなしだ。
もちろんその動きは以前からあり、その最有力候補がヤマハだった。バイクメーカーとしては当然お馴染みだし、スポーツユニットを中心にして昔からトヨタへとエンジン供給ししてきた。
エンジンも含めて、トヨタ2000GTの大部分を手がけるなど、4輪開発のレベルも高かったヤマハ。それだけにヤマハの悲願は自らでの4輪車への進出だ。
世はバブルだった1991年に発表されたのが、「OX99-11」である。当時、ヤマハはF1マシン用V12エンジンを手がけており、これをミッドシップに搭載したスーパーカーだった。排気量は3498ccで5バルブ、そもそもOX99という車名自体、F1向けエンジンの型式に由来する。トランスミッションは6速を採用。
ボディは全長4400mm×全幅2000mm×全高1220mmというサイズで、カーボンモノコックフレーム、ハンドメイドのアルミ製ボディで軽量化を徹底したもの。車両重量は1000kgとされていた。
さらに由良拓也氏が手がけた空力を極限まで追求したスタイルは、どこかユーモラスではあったし、車内も非常にユニーク。まさにF1のようなコクピットで、中央に運転席を置き、助手席(緊急的なもの)はその後ろという特異なパッケージングだった。
価格は1億円オーバーとされ、市販も発表されたが、バブル崩壊により日の目を見ることはなかったのは残念だ。ちなみに3台が現存している。
ヤマハ唯一の市販モデル(前述のとおり実際は市販されなかったが)がOX99-11だが、その血脈はじつは今にも続いている。2015年の東京モーターショーに出展されたSports Ride Conceptは、まさに骨格をマクラーレンのゴードン・マーレイが手がけるなど、スーパーカーそのもの。
LFAのV10もヤマハ製だったことなどを考えると、実力は問題なし。市販化の確率が高いモデルとされ、今後の展開が楽しみだ。