この記事をまとめると
■トヨタの商用車「ハイエース」は絶大な支持を受けている
■商用モデル「トヨエース」の上位モデルとして誕生したのが「ハイエース」だ
■現行モデルは5代目で19年も生産されている超ロングセラーモデルだ
商用車のパイオニア「ハイエース」を振り返る
トヨタが誇る商用車の絶対的エースが「ハイエース」。現行型は4ナンバーの商用車をベースに、1ナンバーのワイドボディや3ナンバーのワゴンなど、豊富なラインアップを揃えている。
国内市場では、キャブオーバースタイルの商用1BOXとしては、「ハイエースかそれ以外か」というほど圧倒的な存在であることは誰もが認めるところだろう。はたして、ハイエースが絶対王者になった背景とは? 1967年に誕生した初代ハイエースバンからの歴史を振り返れば、その理由が明らかとなるはずだ。
結論からいうと、ハイエースは生まれたときから高級志向、乗用志向の強い商用バンだった。
まずはトラックからスタートしたハイエースに1BOXバンが設定されたのは1967年10月のこと。その時点で、トヨタのラインアップにおける商用モデルは「トヨエース」が中心だった。ハイエースは、そのトヨエースよりも小ぶりかつ上級志向の強いモデルとして誕生している。
なにしろハイエースという名前の由来は、トヨエースの前半部分を、英語で「高級な」「より優れた」という意味の「High」に入れ替えたものだと説明されたほど。実際、バンだけでなく、ワゴンやコミューターといった乗用仕様も初期から用意された。
メカニズム的にもモノコックボディで、前輪独立懸架といったシャシー設計は1960年代としては十分以上に乗用車的。ハイエースはその生まれたときから乗用感覚で使える1BOXバンとして生まれたのだ。初代モデルのパワートレインは、1.3リッター/1.5リッターガソリンエンジンとなっていたのも上質な1BOXというイメージを作り出したといえる。
1977年2月に2代目へとフルモデルチェンジするが、このときから掲げられるようになったコンセプトは「商用車でありながら、後ろに乗りたくなるクルマ」というもの。ハイエースというネーミングにふさわしいモデルへと進化していくことになる。
スタンダードモデルの全長は4340mm、ロングタイプでは4690mmとボディを大きくすることで1BOXバンとしての基本性能を高めつつ、居住性も改善するなどハイエースらしさを増していくことになる。
初期のエンジンは1.6リッター/1.8リッター/2リッターのガソリンとなっていたが、1979年には2.2リッターディーゼルが追加されるなど、パワートレインの選択肢も増えていった。