この記事をまとめると
■新型N-BOX/N-BOXカスタムにホンダ栃木プルーピンググラウンドのテストコースで試乗
■実車を間近で見ると煌めきは薄らいだが軽のイメージを覆すレベルの仕立ての良さを感じた
■新型N-BOX/N-BOXカスタムそれぞれの仕様に合わせた最適チューニングが施されていた
N-BOXという外観をキープしながらさらに進化を果たした3代目
軽の背高系スライドドアワゴンで絶大な人気を得てきた「N-BOX」は、ホンダ独自の小さなクルマを広く使える実用的なパッケージング、登録車の延長線上で乗りこなせる質の高いスモールカーを演出したことで、コダワリ層の心を捉えた。2代目は多様化する価値観やライフスタイルに適応して幅広い層の支持を集め、8年連続軽四輪販売台数第1位を獲得するモデルに成長。
大ヒットした次なるモデルの進化に注目が集まるなか、ついに3代目N-BOXがベールを脱いだ。新型はひと目でN-BOXだとわかる外観をキープしながらも、どこか家電的な要素を漂わせるN-BOXと、ほのかなスポーツ性をモダンに表現したN-BOXカスタムのふたつキャラクターで登場した。
実車を間近で眺めると、メッキの主張を抑えたことで煌めきは薄らいだものの、各部の仕立ての良さは軽のイメージを覆すレベル。ヘッドライトの精緻な作り込み、エッジを効かせたキャラクターラインが丁寧に折り重なっているあたりは、まるで小さなステップワゴンを思わせる。インテリアはオープントレーやドリンクホルダーに角を丸めた処理を施して、乗員を優しく包みこんでくれる雰囲気で居心地もいい。
そんな新型N-BOXだが、今回の取材会では事前撮影会では語られなかった“走りの進化”について、初めて触れる機会となった。 試乗会場とされたのはホンダ技研工業株式会社の栃木プルーピンググラウンド。このクルマが生まれ育ったテストコースで新旧モデルを比較試乗する。
まずはN-BOX カスタムのターボ仕様のハンドルを握って比較してみる。
運転席に座ってみて最初に気づかされたのは良好な運転視界。2代目までは立体的なメーターフードがダッシュボード上部に大きく張り出していて、死角が多い印象だったが、新型はステアリングホイールのなかに7インチのTFTメーターを覗き込むタイプに代わったことで、ダッシュボード上がスッキリとして見晴らしがよくなっている。聞くところによると、窓の形は2代目のものをそっくり受け継いでいるそうだが、前方の開放感が大幅に増していて、まるで別のクルマに乗っているように感じた。
試乗は私がハンドルを握り、ホンダの開発担当者と編集者を含めた4名で高速周回路と一般道を再現したコースや構内路を走ってみた。新型は高速走行時の安定性が高く、レーンチェンジした際の車体の収まりもいい。さらに、CVTの制御も見直され、追い越しをするときのエンジン音は雑味やゆらぎを感じさせず、アクセル開度に応じた爽快な加速フィールを与えてくれた。
タイヤは165/55R15サイズのダンロップ ENASAVEが装着されていたが、荒れた路面や踏切を乗り越えるときの乗り心地の質が大幅に高まっていて、踏切を通過する場所でもバタツキが少ない。
フロアや天井に遮音材を盛り込み、サンドイッチすることでロードノイズの侵入を減らし、小さな声がクリアに聞こえたことも、後席に座っていたスタッフが快適に感じたポイントだったようだ。