この記事をまとめると
■カーライフジャーナリストまるもさんが思い出す乗り心地の悪かったクルマをピックアップ
■スポーツ性能を突き詰めたことで乗り心地に悪影響を及ぼしたクルマが多い
■普段の乗り心地は良好なのにワインディングに入ると印象が激変するクルマもあった
「なんじゃこりゃ!」と印象に残る残念な乗り心地
クルマの乗り心地とは、人ぞれぞれ多少なりとも感じ方が違ってくるもの。評価の際になかなか数値化しにくい領域でもあり、同じクルマでも運転席とそれ以外、前席と後席といった、座る場所によっても変わることがあるものです。
だから、自分で運転しているときにはまったく気にならなかったのに、いざ誰かに運転を代わってもらって助手席や後席に座ってみたら、「なんじゃこりゃ!」ということも。最近は、ボディ剛性の向上やタイヤの高性能化、スポーツカーでもチューニングの方向性が変わってきたことなどで、あまりにもひどい乗り心地のクルマは減りつつありますが、この20年ほどで印象に残っている残念な乗り心地のクルマをピックアップしたいと思います。
まずは、スポーツカーなら多少の乗り心地の悪さは仕方がない……と思っている人でも、これはちょっとやりすぎでは? と感じたのが、最近新型がお披露目されたばかりのニッサン・フェアレディZ NISMOの先代モデル(Z34型)です。
デザインは5代目のふっくらと豊かなヒップを持つイメージを踏襲しつつ、ブーメラン型のヘッドライトやさらに抑揚を増したフェンダーアーチなど、熟成された感のある6代目Z。スカイラインクーペで好評だった3.7リッターV6エンジンを搭載し、ホイールベースを切り詰めて加速性能や旋回性を高めた走りは、これぞスポーツカーと爽快な気分にさせてくれるものです。
足まわりなどをさらにハードに突き詰めたNISMOですが、7代目となる新型が登場する直前に、最後にと思って試乗してみたところ、路面のちょっとした凹凸やアスファルト舗装のザラつきまでもを拾ってガッガッガと常に振動が絶えず、ちょっと飛び出たマンホールを乗り越えたらゴンッと大きな突き上げが……。助手席の人と話しながら、思わず舌を噛みそうになりました。
もし、SUPER GTのレース中のオンボード映像を見たことがあるなら、レーシングドライバーのヘルメットが常に上下に揺れている状態が思い浮かぶと思いますが、大袈裟に言うとあんな感じに近い乗り心地。ドライブデートをするなら、やはり新型のベースモデルのほうがオススメです。
2台目は、1998年に登場してから2018年に新型が登場するまで、20年の長きにわたって生産された、先代のスズキ・ジムニー(JB23型)。軽自動車規格が変更されたのを機に登場したモデルで、デザインは少し丸っこいところがありつつ、アクティブさとタフさがしっかり感じられるジムニーらしさは、いま見てもフレンドリーで魅力を感じる人が多いのではないでしょうか。
でも、現行モデルのジムニーに乗ったときにいちばん驚いたのは、オンロードでの乗り心地の劇的な改善でした。先代ジムニーの初期、1型から4型と呼ばれるくらいまではとくに、ひとたびオフロードに入れば水を得た魚のように生き生きと、自信満々でタフな走りで魅了してくれるのに対して、オンロードではいきなり別人になったかのように頼りなさげな足さばきで、常に小刻みな振動が伝わり、エンジン音をはじめノイズも大きく、とても快適とは言えない乗り心地。
20年前の骨格に3リンク式コイルリジットサスペンションなので、オンロードでの快適性は割り切っているとはいえ、高速道路のカーブやレーンチェンジではビヨーンと大きく沈み込んでヒヤリとすることもあったほど。何も知らずに乗ったら、助手席の人には運転が下手なのかと思われてしまうかもしれないですね。