この記事をまとめると
■輸入車には「正規輸入」「並行輸入」「逆輸入」という3種類が存在する
■通常の正規輸入車であればリコールがあった際ディーラーで修理対応が可能だ
■並行輸入車の場合、リコールがあっても対応してくれないケースがほとんどとなっている
並行輸入車の維持は茨の道だった
国産車にはなくて輸入車にはあるジャンル分けに、正規輸入、並行輸入、逆輸入というものがある。正規輸入は、海外の自動車メーカーの日本法人や海外メーカーと販売契約を交わした会社が扱うクルマ、並行輸入はそれ以外の海外メーカーのクルマ、逆輸入は国内メーカーの海外向け車種を日本に戻して販売するものだ。
これによる違いはいろいろある。そのひとつがリコール対象になるかどうかだ。
国土交通省自動車局審査・リコール課のオフィシャルサイトには、「よくあるお問い合わせ」として、「並行輸入車はリコール対象となるのですか」という項目がある。
これに対する回答は、リコール届出は法令上
(1)日本国内の自動車メーカー
(2)海外の自動車メーカーが製作した自動車を日本国内で販売する契約を交わしている者
(3)日本国内で自らの自動車を販売する海外の自動車メーカー
に義務付けられていると書いてある。
さらに、これらの者以外から購入する自動車や、個人で輸入する自動車など、いわゆる並行輸入車については、ユーザーに安全の確保および環境の保全を図る責任があり、リコール制度による自動車メーカー、輸入事業者などの修理を受けられないことがあると記している。
つまり、並行輸入車(逆輸入車も含む)は、リコールの対象にはならないと、国が定めている。たしかに僕も、並行輸入車を何度か所有したことがあり、リコールの案内はなかったが、そもそも並行輸入車には案内が出されていなかったというわけだ。
よくよく考えれば、正規輸入車はそのクルマが日本のユーザー向けに販売されたことがインポーターのデータとして残っているが、並行輸入車はリストに載っていない。これではリコールの通知を出そうにも出せない。
しかし、本来販売された国の状況を調べて、リコールがあることを知り、国内のディーラーに持ち込むという手段があるにはある。
ただし、正規輸入車は、ハンドル位置以外にもさまざまな部分が日本の道に最適化されているので、並行輸入車はそれとは仕様が違うことが多く、一般的に正規ディーラーでは対応してくれない。これ以外の整備や修理についても、同じことが言える。
とりわけ最近のクルマはECUによってエンジンなど多くの部分の電子制御を行っており、専用の診断機器を接続しないと、電気系の故障を発見することが難しい。リコールもそうだが、放っておけば最悪の場合、事故や故障につながるおそれがある。
なかには正規ディーラーの人と仲が良くて、つながりを生かして並行輸入車を見てもらえている人がいるかもしれないけれど、それは例外であって標準ではないし、自慢話としてSNSに書き込んだりすると、本国のメーカーから訴えられる可能性もあるので控えたほうがいいだろう。
僕が並行輸入車を所有したのは、正規ルートでの輸入がなかったり、正規ディーラーで面倒を見てもらえないほど旧いクルマだったりというパターンで、正規輸入車がある車種については、上で書いた理由もあるので、そちらを選ぶようにしている。