この記事をまとめると
■昨年、商用版のフルゴネット限定で「ベルランゴ2CVフルゴネット」が登場した
■シトロエンが協力してカロッツェリア「カゼラーニ」がデザイン・製作・販売する
■「カゼラーニ」はそのほかにもタイプHをモチーフにしたモデルも製作している
「ついに2CVの復刻版が登場か」と話題となった
第2次世界大戦後、長きにわたり販売されたベーシックカーと言えば、ドイツのフォルクスワーゲン・ビートル、フランスのシトロエン2CV、イギリスのBMCミニ、イタリアのフィアット・ヌオーヴァチンクエチェント(2代目500)の4台を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。
このうちミニはBMW、チンクエチェントはフィアット自身の手で21世紀になって復活し、現在も根強い人気を得ている。ビートルも同じように復刻版が生まれたものの、前2車ほどの人気は得られなかったようで、生産を終了してしまった。
では残る2CVは? 現在日本でシトロエンのエントリーモデルを務めるC3の初代が、プロポーションやメーターなどにその面影を取り入れたことはあったけれど、名前からしてのリバイバルというのはなかった。
ところが昨年、商用版のフルゴネット限定ではあるが、それらしきモデルが登場した。ベルランゴ2CVフルゴネットがそれだ。
名前と写真を見ればおわかりのように、こちらは日本でも人気のベルランゴをベースにしたもの。デザインを担当したのはイタリアのカゼラーニというカロッツェリアで、丸みを帯びたノーズと逆台形のグリル、大きな丸型ヘッドライト、サイドやリヤ、ルーフのコルゲート仕上げのパネルなどを特徴としている。
カゼラーニがこの種のカスタムを手がけるのは2CVフルゴネットが初ではなく、フィアット・デュカトの姉妹車でもあるジャンパーをベースとしたタイプH、ジャンパーとベルランゴの間に位置するジャンピーとスペースツアラーをもとにしたタイプHGをこれまでに手がけている。
いずれもデザインはカゼラーニが主体となって進めたが、シトロエンも協力したとのこと。3車種ともにシトロエンの公式ライセンスを受けたうえで、カゼラーニが販売する。ちなみに2CVフルゴネットは商用タイプのほか、日本でもお馴染みの乗用タイプも用意。エンジン車だけでなく、ヨーロッパでの主力になっている電気自動車も選べる。
個人的に、3車種のなかでもっとも違和感がないのは、ベース車両のプロポーションが似ているジャンパー・タイプHだが、デュカト同様、日本で実用車として使うにはボディが巨大という悩みがある。
逆にベルランゴ2CVフルゴネットは、作り手も認めているようにオリジナルとはパッケージングがかなり違う。なのでリアルに復刻させるのではなく、雰囲気を再現することに努めたという。写真を見る限り、その狙いは達成されているように感じる。このあたりの技量はさすがイタリアだ。
前述のように、現時点ではシトロエン自身が販売しているわけではないし、そもそもたくさん売れるプロダクトではないので、簡単に正規輸入するわけにはいかないかもしれないけれど、プジョー版に加えてフィアット版も追加され、それぞれにロングボディが選べるというワイドバリエーションを展開しているのだから、1車種ぐらいこういうのが紛れ込んでもいいような気がする。