この記事をまとめると
■日本のディーラーやメーカーで働く人は自社のクルマに乗ることがほとんどだ
■バブル期は営業担当のクルマがそのまま訪問販売時の試乗車などになっていた
■バブル以降は試乗車を置きつつ社員のクルマもデモカーとして活用するようになった
日本のディーラーで働く人は自社のクルマに乗るのが当たり前
日本国内のメーカー系新車ディーラーに勤務するセールススタッフは、自社取り扱いの新車に乗っているのが当たり前となっている。
バブル経済のころから、新車販売業界でも4年制大学を卒業するなど、学卒入社社員を積極的に採用するようになった。当時の新車ディーラーをめざす就活生の多くが就職先を決める大きな理由となっていたのが、“自分の好きなクルマに乗る”であった。
内定も決まり、内定学生が集まると入社したらどのクルマに乗るかで話が盛り上がったそうだ。具体的に「扱い車を買え」と半ば義務的に明文化されているわけではないが、社員自家用車規定(通勤や仕事で使う車両の要件など)や周囲の空気を感じれば、扱い車を購入するのが当たり前となっていた(半ば義務?)。
若手セールススタッフを中心に、自分の好きなクルマを安く買って乗れる就職先を選んだという背景もあり、社員割引き購入制度などもあったので、自社扱いの新車に乗るのは自然の流れでもあった。
ただし、当時ベテランセールススタッフの多くは、お客から下取りした車両で程度の良いものを購入して営業活動に使うケースがほとんどであった。あまりにも古い年式のクルマに乗る新車ディーラーセールススタッフも多く、一定年式以下の古いクルマには乗らないようにと“お触れ”を出す会社もあったようだ。また、自分が乗りたいからと、大切にクルマに乗っていたお客を半ば強引に新車へ乗り換えさせ、それを購入して乗るということもあったようだ。
ちなみに当時は展示車こそあったものの、試乗車というものがなかった。「試乗させなければ買ってくれないようなら半人前」とも言われていた時代なので、会社としても試乗車を用意するところはほとんどなかったようだ。
そのため、自分が扱うクルマの新車を購入して、販売に活用するセールススタッフもいたようだ。「自宅の車庫に入ったら買うよ」と言うお客も多かったようで、購入希望車を自分で買って乗っていき、または同僚のクルマを借りてお客の家へ向かい、実際に車庫に入ったので購入してもらったということもあったようだ。