世界で有名になった伝説のドラテク「中谷シフト」! 中谷明彦が「その中身」と誕生秘話を語る!! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■レーシングドライバーは独自のドライビングテクニックを持っている場合がある

■中谷明彦氏が生み出した「中谷シフト」はビデオを通じて世界中から注目された

■現在のクルマでは制御の関係から「中谷シフト」ができなくなっていることが多い

中谷シフトはどのようにして生まれたのか

 ドライビングテクニックにはさまざまなパターンがある。とくにモータースポーツのフィールドでは、ライバルに勝つため、いかなる方法でも勝てるなら試す価値がある。

 僕自身が編み出した特殊テクニックとして、現在でも世界中のモータースポーツファンの話題として取り上げられているのは「中谷シフト」だ。マシンガンシフト、スーパーシフトとも呼ばれ、ベスト・モータリングビデオで実際の操作が動画で収録されたことから世界中の注目を浴びることとなった。

 中谷シフト誕生秘話は以前に紹介したこともあるが、1985年頃からさまざまなワンメイクレースに参戦するようになったのがきっかけだ。ワンメイクレースは同じ車両、同じエンジンで競うので、どんなことでも有利になるなら勝ちたい一心で試す価値があると考えた。たとえば1.5kmと長いストレートが特徴の富士スピードウェイでは最高速の高さが勝機に繋がる。

 そのために電動サイドミラーをあえてノーマルのまま残し、ストレート部分では格納して走行。前面投影面積を最小化した。また、当時取材を通じて自動車メーカーのエンジニアからうかがった話として、空気抵抗係数Cd値はハガキ1枚程の面積の穴が車両前面に開いているだけでコンマ1は悪化すると知り、ラジエターグリルやボンネットフードの隙間、バンパーの穴などもガムテープで覆って塞いだ。空気抵抗はCd×A(前面投影面積)で決まるので、ミラーの格納と合わせて行なえば効果があると考えた。結果は、当時三菱自動車が開催していたミラージュカップレースの開幕戦富士ラウンドを3連覇したことでも、またVWゴルフによるポカールカップで全勝したことでも証明された。ただ、現在はミラーを格納する行為は禁止されていると思う。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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