この記事をまとめると
■高速道路や一般道の山岳地帯には登坂車線が用意されている場合がある
■設置条件は「一般道路は勾配5%以上、高速道路の場合は3%以上」と決まっている
■高速道路の登坂車線は「最低速度50km/h」の適用外となっている
登坂車線ってそもそもなに? いつ使うの?
山の上へ伸びる山岳路や高地へ向かう高速道路などには「登坂車線」が用意されていることがある。なぜ登坂車線が設置されているのか、その意義と条件についてあらためて整理してみよう。
登坂車線は、急な登り坂で速度が出せないクルマが走るための車線である。日本の道路行政における基本は円滑な交通を維持することだが、急坂でトラックなどが速度を出せない状況になると、それが原因で渋滞してしまうことがある。
そこで、とくに登り坂の厳しい部分において、車線の左側に登坂車線を追加することで、追い越しができる区間を設けているといえる。単純化すると、遅いクルマが後ろのクルマに道を譲るために登坂車線は存在していると理解できる。
そんな登坂車線を設置できる条件は、一般道路において勾配5%以上、高速道路の場合は3%以上と定められている。
ただし、勾配がきつければ必ず登坂車線を設置しなければいけないわけではない。交通量が多いなど、円滑な交通の妨げになると判断される地点において登坂車線は設置される。「ここは登坂車線がないから勾配が5%以下だ」と判断することはできないのだ。
登坂車線の手前では「遅いクルマは登坂車線へ」といった旨の看板が出ていることが多い。
ドライバーのなかには、登坂車線はトラックしか走ってはいけないと思っている人もいるようだが、遅いクルマであれば登坂車線を走って問題ない。フル乗車状態で速度が上がっていかない小排気量車、現在の基準ではパフォーマンスに不安のある旧車などの乗用車が登坂車線を走るのはまったく問題ない。