この記事をまとめると ■ナンバー付きのクルマなのにフロントウインドウを装着していない4台のモデルを紹介
■飛来物が普通にドライバーへと当たる可能性がある
■ストイックなスポーツカーだけではなくコンパクトカーにも存在
フロントウインドウがない常識はずれなマシンたち クルマにとってフロントガラスは必要な装備、というより「なくてどうすんの?」ってくらいデフォルト、常識、付いてて当たり前なものかと。仮に、フロントガラスがなかったとすると、まず走行風や前走車の飛び石が直撃するほか、バードストライクよろしく鳥の顔面アタックも避けがたいわけで、およそ非現実的。
ですが、あえてこのタブーを犯したクルマは少なくありません。フロントスクリーンを省くことで、ガラスの重さだけ軽量化できるとか、前面投影面積を減らせるなどスポーツカーらしい理由が思い浮かびはするものの、果たして一般公道を走るクルマとして成り立っているのかどうか、じつに興味深いものです。
マクラーレン・エルバ 2019年に発表されたマクラーレン のエルバは、4リッターのV8ツインターボをミッドシップに搭載して、CFRP製ボディ&シャシーは1300kg以内に収め、815馬力を後輪のみで受け止めるというハードボイルドなキャラ。しかも、当時トレンドだったルーフレス・スパイダーの轍を踏みながら、フロントスクリーンもオミットするという潔いパッケージが衝撃的でした。
マクラーレン・エルバのフロント 画像はこちら
エルバがフロントスクリーンの代わりに用意したのがAAMS(Active Air Management System)という空力デバイスで、車速が40km/hに達するとフロントフードのあたりにスポイラーがせり上がり、ドライバーへの風当たりを緩和するというもの。開発年度も新しいですから、効果もそれなりにあるらしく、この手のお約束「ヘルメット着用」は回避できているようです。
このクラスになると見た目も重要な商品価値ですから、フロントスクリーンよりもAAMSのほうがスタイリッシュだと考えられたのでしょう。野暮を承知で言えば、このシステムより小さなプレクシグラスのスクリーンをつけるほうがよほど軽量化には役立つのかと。
マクラーレン・エルバのサイドビュー 画像はこちら
ルノースポール・スピダー ソートバン フロントスクリーンなしとくれば、スピダーを出さないわけにはいきません。いわゆる、フロントガラスの代わりにスポイラーを装備してドライバーへの風当たりを制御する先駆け的な存在ですからね。もっとも、スクリーンなしのソートバン(saute-vent)は、当初ワンメイクレースを想定されたモデルで、あとから一般的なフロントガラスを装備したモデル、パラブリーズ(pare-brise)も選べるようになりました。が、人気の的は圧倒的にソートバンだったこと言うまでもありません。
ルノースポール・スパイダー ソートバンのエクステリア 画像はこちら
で、ソートバンの小さなスポイラーの効果といえば、「風向きが少し変わる」といったレベルですから、公道走行でもヘルメットやゴーグルといったプロテクターはマストな装備かと。実際、サーキットでヘルメット装着して走った知人によれば「前走車の溶けたタイヤのカスが飛んできて、バイザーにへばりついた」そうです。
ルノースポール・スパイダー ソートバンを斜めからみた写真 画像はこちら
なるほど、サーキットに軸足を置くということは、これほどまでにストイック、というか無茶なことをやっているということでしょう(笑)。