歴史的名車が93年ぶりに新車として現代に蘇った! ベントレー「スピードシックス コンティニュエーションシリーズ」の1号車をお披露目

この記事をまとめると

ベントレーの100年以上ある歴史のなかで「スピードシックス」は特別な1台だ

■その「スピードシックス」が当時の資料を徹底研究して現代に蘇った

■グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにて1号車がお披露目された

なんと93年ぶりに新車が登場!

 ベントレーといえば、超がつくほどのプレミアム自動車ブランドとして日本で認知されているほか、創業は1919年と、100年以上前から自動車を作り続けている老舗中の老舗ブランドだ。また、モータースポーツも得意とし、1924〜1930年にル・マン24時間レースで5回の優勝を飾るなどの歴史を持っている。

 そんなベントレーの歴史のなかで、欠かすことのできない1台が「スピードシックス」だ。これは、先述した1930年のル・マン24時間レースで活躍した車両となっており、同社では「ベントレー史上もっとも成功を収めたレーシングカーであり、歴史上もっとも重要なベントレーの1台とみなされている」と語る。

 今回紹介するのは、このスピードシックスを93年ぶりに新規で製造し、販売すると同時に、今年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにて、スピードシックス コンティニュエーション・シリーズの第1号車を世界初公開したというニュースだ。

 このモデルは、栄誉ある歴史的名車「スピードシックス」をレプリカとして限定12台(全台売約済み)で販売するといったもので、お披露目されたのは「スピードシックス カーゼロ」と名付けられた1号車で、エンジニアリング開発車両だ。このモデルは、8000kmのサーキット走行と3万5000kmの実走行をシミュレートできるように設計されているとのこと。

 しかし、ただガワだけを似せたレプリカではないのがこのクルマの凄いところ。まず、1930年のル・マン24時間レースで活躍した「オールドナンバー3」とスピードシックス (GU409)の実車を参考とし、当時の設計図や、1929年と1930年のレースの変更点を詳細に記したオリジナルのメカニックノートも反映し、徹底的に当時のままの姿と仕様としている。

 手がけるのはベントレーのオーダーメイドおよび世界最古とも言われるコーチビルド部門の専門かつ老舗である「マリナー」だ。

 エンジンも当時と同じ仕様としている。この、新しい6・1/2リッター6気筒レース仕様エンジンの開発には、600を超える新しい部品を新規で作成。最初のダイノテストでは、ピーク時の出力が205馬力と、1930年にレースチューニングされたオリジナルエンジンの記録からの誤差が5馬力以内だという。

 まさに、当時のスピードシックスが現代のクオリティでそのまま蘇ったと言えるだろう。

 このモデルは、マリナーの職人はもちろん、専門チームを組んで製造される車両となっており、完成までには1台あたり10カ月を要するという。また、購入したユーザーと打ち合わせを行い、それぞれのオーダーを組み込んだ特別仕様に仕立てるほか、実走行距離の蓄積と2回のレース・シミュレーションを受ける流れだ。

 最初の顧客向け車両は今年10月から製造が開始され、2025年末までに全台が完成する予定だそうだ。歴史的名車を現代の技術で蘇らせるという夢のような1台となった「スピードシックス コンティニュエーションシリーズ」。それは、もはやクルマというより美術品と言ってもいいだろう。


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