室内空間に重きを置く大衆車の場合FRは不利になる
クルマ好きのなかには「FRでなきゃ走りが楽しめない」と主張する人が一定数存在しているようだ。たしかに、かつてはFR(フロントエンジン・リヤドライブ)というのはクルマのパワートレインにおいては基本形だった。
大衆車の代名詞だったトヨタ・カローラだって1983年に登場した5代目で初めてFFを採用したし、そのときもスポーティクーペであり、AE86の型式で知られるるレビンはFRレイアウトとなっていたのは、ご存じのとおりだ。
こうして大衆車からFF駆動が増えていったのには理由がある。そもそもFRというのはエンジン出力を駆動輪に伝えるためのプロペラシャフトがキャビン部分の中心を通ってしまうために居住性にはネガティブなレイアウトなのだ。
そうした理由により、大衆車の合理的なレイアウトとしてRR(リヤエンジン・リヤドライブ)が主流だったこともある。その代表例がカブト虫の愛称で親しまれたフォルクスワーゲン・ビートルだろう。
また、現在はシンメトリカルAWDがコアテクノロジーとなっているスバル車だが、その始まりは水平対向エンジンをオーバーハングに積むFF(フロントエンジン・フロントドライブ)にある。このレイアウトも居住性を確保することにプライオリティを置いたものだ。