人手不足に材料費高騰も影響している! 最近「ドアの色」が「1枚だけ違う」クルマが増えているワケ

この記事をまとめると

■最近、ドアの色が微妙に異なるクルマを見かけることが増えた

■ドアだけ色の違うクルマはメタリック系のボディカラーに多い

■板金塗装職人の人手不足により色合わせの技術不足な職人による作業であることが原因

整備士不足以上に板金塗装職人不足が深刻

 最近、気になっているのが、ドアだけ色が違うクルマをけっこう見かけるということ。まったく違うなら、個性の主張かな? なのだが、気になるのは少しだけ色が違うからだ。多いのはシルバーやガンメタなどのメタリック系で、ソリッドは少ないのも気になる。「そうかな?」と思う方は、気にして見ていると、発見できるはずだ。

 そもそもなぜ色が違うのかというと、これは板金塗装跡。つまり、補修したところの色が合っていないというのが原因となる。メタリック系で多いのはメタリックやパールは金属などの粒を混ぜていて、それが車体製造時のものと種類が違ったり、粒の向きが違うから。メタリック系は補修塗装が難しいと言われるのはこのためだし、塗装というのは紫外線の影響などで色あせしてしまうため、実際の車体に合わせて色合わせをしてやる必要がある。

 なぜ最近になって補修した跡が目立ってしまっているのかというと、まずは予算の問題。板金塗装は人手不足、経験者不足が整備士以上に深刻なだけに、費用が高騰していて、それゆえドアだけ塗って直すという例が増えているから。塗料などの材料費が高くなっていることも拍車をかけている。

 メタリックの場合、前述のようにどうしても色が合わずに補修跡が出やすいので、ドアをぶつけたとしてもサイド全面を塗ってしまうのが基本だった。20年ぐらい前まではパネル1枚3万円というのが目安と言われていたが、いまではとてもそんな費用のレベルではないのが実際で、自腹修理だとぶつけた場所だけ補修しておしまいとなってしまうし、保険修理の場合でも、場合によってはぶつけたところだけということもある。

 そして人手不足、経験者不足となると、技術的に色合わせが下手ということにもなる。クルマのボディ用塗料は出来合いのものはなくて、指定に合わせて調色して作る。ここに色あせ分を加味して実際の色を作るのが本来の作業。非常に経験が必要なだけに、人手不足の昨今ではそもそも合わせられないことも多い。ボディに当てて色を読み取る機械もあるが、基準にはなるがリアルではない。

 さらなる背景としては、衝突安全性向上のため、見切りが悪くなってぶつけやすくなっているのもあるだろう。

 いずれにしても、ぶつけてしまったから板金して塗装で直すと気軽に考えられない時代になってきているということだ。クルマ好きにとっては色が違っているのは非常に気になったり、許しがたいことだったりするが、費用の高騰などが理由となると、致し方ない面もあるだろう。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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