この記事をまとめると
■赤外線や紫外線のカット、遮熱効果の高さからウインドウフィルムが注目されている
■ウインドウフィルムをフロントウインドウに貼ることは必ずしも違法ではない
■可視光線測定器を用いて合法的な施行をしているショップでの作業ならほぼ問題はない
いまどきのウインドウフィルムはエコの一助としても有効
環境を大切にする時代、ウインドウフィルムへの注目度が増している。かつてのウインドウフィルムは室内を見えづらくしてプライバシー性を強化することが主な狙いだったが、最近のトレンドは赤外線や紫外線カットによる遮熱効果となっている。
文字どおり、紫外線や赤外線は目に見えないのだが、それにより室内が温められてしまうのはご存じのとおり。つまり、紫外線や赤外線をカットすることができればエアコンの負担が軽くなり、エアコンを稼働しているエンジン負荷を軽減することで省燃費につながるわけだ。
とはいえ、クルマの窓ガラスに貼るウインドウフィルムについては、いまだに「後席のサイドガラスやリヤウインドウについてはOKだけれど、前席のサイドガラスやフロントウインドウにフィルムを貼るのはNG」という話がまかり通っている。
しかしながら、フロントウインドウにフィルムを貼ってはいけない、という風にルール(保安基準)が定められているのかといえば、そうではない。一定の基準を満たしていれば、フロントウインドウにフィルムを貼ることは問題ない。
保安基準をクリアした状態であれば、UVカットやIRカット機能を持つ透明フィルムだけでなく、虹色に輝くようなフィルムを貼ることも合法なのだ。
なぜ、フロントウインドウにフィルムを貼ることが基本NGとされてきたかというと、保安基準をクリアしているかを確認する方法が徹底されていなかったからだ。
あらためてフロントウインドウや前席サイドガラスのルールを整理すると、保安基準第29条第3項によって、それら運転手の視界にかかわるガラスの可視光線透過率が70%以上であることが定められている。
問題なのは、保安基準を満たしているかどうかの測定方法について確実といえる基準がない状態が続いていたことだ(基準はあったがプロの方でも基準を確実に把握できていなかった)。そのために指定工場などの民間車検場では「ウインドウフィルムは基本的にNG」という風潮だったのだ。
しかし、2023年に大きな動きがあった。令和5年1月13日、国土交通省・自動車局 整備課より『指定自動車整備事業における着色フィルム等が装着された自動車の指導について』という事務連絡が発せられた。この通達が出た背景には、フィルム製作者より指摘を受けて現場での判定方法に差異がある事を確認した故という。
つまり、通達のタイトルだけ見ると、着色フィルムについての基準が厳しくなったように感じるかもしれないが、連絡内容をかいつまんで整理すると、そうした印象とは真逆となっている。
簡単にいえば、次のとおり。
●着色フィルムを貼っている車両に対しては規定された可視光線透過率測定器を用いて、保安基準である70%の透過率を満たしているかどうか確認することを徹底すべし。
●自動車技術総合機構においては保安基準を満たしているか確認できる測定器として光明理化学工業製の「PT-50」もしくは「PT-500」を使用している。
●民間車検場では上記の測定器を用意してフィルム装着したガラスの透過率を測定するか、もしくは運輸支局などに持ち込んで透過率を計測すべし。
可視光線透過率70%以上という保安基準はそのままに、測定方法の基準を示したのが、1月に発せられた指導の内容だ。