刑事ドラマのような「なんでもアリ」走りは違法! 緊急走行時でも「パトカー」がやってはいけない行為とは

この記事とまとめると

■パトカーなどの緊急自動車は、急用務を遂行する目的で緊急走行を行う

■緊急走行中のクルマにはいくつかの特例が認められている

■一方で緊急自動車にも厳守しなければならないルールが存在

緊急走行中のクルマにも守るべきルールがある

 パトカーや消防車、救急車など、公共・公益的な機関の車両のうち、公安委員会が指定したクルマで、当該緊急用務のため、政令で定めるところにより、運転中のものを「緊急自動車」という。

 これらのクルマが急用務を遂行する目的でサイレンを鳴らし、赤色灯をつけて走ると「緊急走行」となり、道路交通法第41条により、下記の特例などが認められている。

1)右側部分の通行

2)停止義務の免除(注意して徐行する義務あり)

3)通行禁止道路の通行

4)車両通行帯に従わない通行

5)指定横断禁止等に従わない通行

6)追越し禁止場所での追越し特例

7)車両の右左折方法に従わない通行

8)指定通行区分に従わない通行

9)横断歩道接近時の減速義務免除

10)最高速度の特例(一般道:80km/h・高速道:100km/h)

 このうち、パトカーや白バイが、最高速度違反の車両を追尾するときに限り、当該違反車両と速度を同等の速度で一定の距離を追尾して速度を計測する必要があるため、例外的に法定速度以上のスピードで走ることが許されている。

 一方で、緊急自動車であったとしても、厳守しなければならないルールがいくつかある。

1)歩道通行の禁止

2)急ブレーキ禁止

3)車間距離の保持

4)左側追越しの禁止

5)割り込み運転の禁止

6)徐行場所での徐行

7)警音器標識による警音器の吹鳴

8)事故を起こした場合の措置(停止義務・救護義務あり)

 これらは、サイレンを鳴らし赤色灯をつけた緊急自動車であっても、特例扱いとして免除されることはなく、一般車両と同じく守るべき義務がある。

 また、パトカーに乗務し、緊急走行するためには、普通の運転免許の他、警察内部の資格、「自動車運転技能検定」に合格することが条件。

 警視庁の場合(都道府県によって一部異なる)、パトカーの運転資格は、普通技能検定と呼ばれ、サイレンを鳴らしての緊急走行できるのは、「普通技能検定A級」の合格者に限られる。取得するにはおよそ10日間にわたる「パトカー乗務員養成専科」なる研修を受けて、格付け検定を受験するのが基本(直接、検定合格を目指す方法も)。

 考えてみれば当然だが、緊急走行のパトカーだって、守るべきルールはあり、運転するには警察内部の検定を受け、トレーニングを積むなど、厳しい条件が課せられていることも知っておこう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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