この記事をまとめると
■歩行者の傘とクルマが接触した際の過失割合について解説
■原則10:0でクルマ側に責任が問われる
■クルマが歩行者の側方を通過する際は適切な間隔を保つ義務がある
クルマ側に責任が問われるのが原則
梅雨の時期、狭い道などを通るとき、気をつけていたとしても歩行者の傘とクルマが接触してしまうことがある。
この場合、過失割合はどうなるのだろう?
クルマ対歩行者の事故の場合、クルマが動いている状態で歩行者と接触したら、10:0でクルマ側に責任が問われるのが原則。
これは交差点付近や歩行者が道を渡ろうとしたり、クルマが歩道を横切るようなときに限らず、双方が直進状態のときでも基本的に同じ。
クルマが歩行者(や軽車両)の側方を通過する際、歩行者又は軽車両がクルマの接近に気づいている場合でも1.0メートル以上、気づいていない場合は1.5メートル以上の間隔をあける必要があるからだ。
どうしてもそれだけの間隔が保てない時は、速度を落とし徐行する義務がある。
それを守らないと、安全間隔不保持(危険行為)に該当するので、傘のあたる距離まで接近してしまったクルマがアウトとなるわけだ……。
ただし、傘をさして歩道を歩いていた歩行者が、強風にあおられて車道に転倒して、クルマと接触したようなケースだと、歩行者10、クルマ0の過失割合になる。
裁判所も、こうした状況下で、歩行者が吹き飛ばされてくることをクルマ側が予見する義務があるかについて、否という姿勢を示したからだ。
またクルマが駐車中で、完全に停止していたところに歩行者がぶつかってきたとしたら、当然、歩行者側に責任がある。
たとえ駐車禁止の場所であったとしても、クルマが完全に停止していたのなら、歩行者側の責任。駐停車禁止場所に駐停車させることで歩行者の通行を邪魔して、事故発生のリスクを高めていたとしても、自動車側の過失は1割程度。
クルマが傷ついた場合は、10:0もしくは9:1で歩行者側が修理費を負担するのが妥当だろう。
歩行者対クルマの接触事故で、クルマ側が歩行者に修理費を請求するようなケースでは、交渉が難航することが多いので、自動車保険に弁護士特約がついていたら、弁護士に相談するのがベスト。
反対にクルマ側が歩行者の傘を壊してしまった場合は、翌年以降の保険の等級を考えると、保険を使わずに自腹を切って弁償するのが望ましい。